レスピーギ：ボッティチェリの3枚の絵、組曲《鳥》、リュートのための古風な舞曲とアリア の感想

レスピーギの中で最も数多いディスクに恵まれた曲で、いにしえの時に身をまかせる様な風情は実に魅力的だ。この盤はボッティチェリと鳥が組み合わせで聴ける最高の名盤である｡シモーネの演奏は歌心に溢れ旋律をとことん歌わせながらも、時空を超えて古えの風情を漂わす哀感があって、小澤盤やカラヤン盤とは対極にある演奏だ。曲が素晴らしいのでどんな演奏でもそこそこ楽しめるが、徹底的にこの曲に浸りたい方には一番にお薦めしたい｡試しにイタリアーノの冒頭を聴き比べるだけで「歌」の違いがおわかり頂ける事と思う。ボッティチェリもルネサンスを想わせる美しい曲で,鳥は色んな鳥の音画でオーケストレーションが楽しい｡全曲で一枚のアルバムとして統一されていてその点も評価してお薦めします。