ペン字改定常用漢字の三体 の感想

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1981年に常用漢字が制定されたときに初版が発行され、2010年の改定に伴いこの改定版が出ました。

従来との主な変更点は、原著者の狩田巻山氏のお弟子さん小林操子氏が常用漢字追加196字を新たに執筆した分が、13ページにわたって追加されていることです。狩田氏の直弟子の小林さんの文字は狩田氏の書きぶりと非常に似ており、違和感を感じることはありません。

なお、この本には初版出版時の人名用漢字284字も収録されていますが、改訂版でもまったく同じ構成でその後の増減は加味されていません。ちなみに2010年の常用漢字改定と同じ時点での人名用漢字は合計861字です。

ということで、従前の1945字の常用漢字のページは改定で削除となった5字も含めて初版・改定版ともにまったく同じ内容。人名用漢字のページも284字でまったく同じ内容となっています。

少しややこしいのですが、常用漢字の改定で追加となった196字のうち、129字は人名用漢字から常用漢字への移行です。ただし本書に収録される人名用漢字は1981年時点のものなので、129字のうち39字だけが移行の対象となっています。したがってその39字については人名用漢字として収録されている狩田巻山氏の筆跡と常用漢字追加の小林操子氏の筆跡が重複して収録されています。

硬筆書写検定やパイロットのペン習字講座ではおなじみの狩田巻山氏ですが、好みを別としても端正な中にえも言われぬ風格と美しさがあり、亡くなってすでに20年以上も経つそうですが、普通に買える硬筆の手本としてはこれ以上のモノはないと思います。また、「常用漢字の三体」という書名なのに執筆時点ですべての人名用漢字まで網羅したところに狩田巻山氏の良心を感じます。

単に字形を調べる字典のような使い方ではなく、しっかり硬筆の練習をしたいという学習者向きの手本としてお勧めです。