和漢診療学――あたらしい漢方 (岩波新書) の感想

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タイトル和漢診療学――あたらしい漢方 (岩波新書)
発売日販売日未定
製作者寺澤 捷年
販売元岩波書店
JANコード9784004315742
カテゴリ »  » ジャンル別 » 暮らし・健康・子育て

購入者の感想

本書は漢方医学の叡智を活用して西洋医学や東洋医学の枠組みを超えた新たな「知の創造」へと導くための指南書である。和漢診療学とは「知の創造」を目指した日本独自の学問であり、西洋医学と漢方医学の単なる統合ではないことが本書を読むとわかるであろう。西洋医学は自然科学の方法論を取り入れ、人体の細部に切り込む還元主義により飛躍的な進歩をとげてきた。その根底思想は、現在認められている理論や仮説が将来、新しいものに置き換えられる可能性を認めるところにある。著者は医学部の学生時代から漢方医学を学ぶ機会に恵まれ、既に19歳の時に東西医学の統合医療というものを志したが、漢方医学の学習が進むにつれ、漢方医学は「何故そうなるのか?」という疑問を解決する姿勢も方法論も持たないことに気づく。「これまでの漢方は言葉を言葉で説明してわかったつもりになっていた」と鋭い指摘をされている。そして、25歳頃に、東洋医学と西洋医学の間に立ちはばかる壁をどうにかして突破できないものかと考え始めたのである。
「細分化(分解)」「普遍性」「論理性(デジタル思考)」に視点を置く西洋医学と「全体性」「個性」「暗黙知(ことばにしてあらわすことができない知)」に視点を置く漢方医学であるが、このいわば相反する二つの方向性を持つものを弁証法でいう止揚する(aufheben)のが和漢診療学であると述べている。即ち、両側面から病態を把握しようと挑戦する(二つを対立させるのではなく、常に全体性の中で部分を理解する)ことにより、これら2面の根底にある異常を別の側面からも観ることができ、しかも漢方医学そのものの内容も豊になるということを、筆者自身が経験した事例を示しながら分かりやすく解説している。これまで経験知に頼ってきた漢方の診断学を、各種の診断基準を設定することによって、客観的な診断学を著者が形成したことは、その第一歩だったのである。“漢方医学の病態のとらえかた”に関する第三章の以下の記述に著者が言いたいことが要約されている。

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