ナイトランド・クォータリーvol.12 不可知の領域――コスミック・ホラー の感想

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参照データ

タイトルナイトランド・クォータリーvol.12 不可知の領域――コスミック・ホラー
発売日2018-02-27
販売元書苑新社
JANコード9784883753024
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » SF・ホラー・ファンタジー

購入者の感想

テーマはコスミック・ホラー、秩序の狭間から噴き出す異界とそれを内包する「存在そのものの不安」とのこと。
普遍的恐怖であるがゆえに、本書は今まで刊行されたナイトランド・クォータリーシリーズの中でも幅広いジャンルの作品が収録されています。
個人的に気に入ったのがキム・ニューマン「来たのは誰?」。一種コメディや漫才めいた異なる二者の駆け引きの応酬の果てに、タイトルに込められた真の意味がうっそりと頭をもたげる快作です。

逆に作品として粗が目立ったなと感じたのが、荒山徹「沃沮の谷」。
まず、主人公である毌丘倹の名を毌-丘倹と区切っているところで、これ正しくは毌丘-倹です。父親に当たる毌丘興も同じ区切られ方をしてますが、諸葛亮の姓を「諸」とするようなものではっきり言うとかなり変です。また、後日譚において毌丘倹が帝位を狙った旨の記述ですが、創作にしてもここまで史実と真逆なことを書かれると毌丘倹を主人公にした意味が全く理解できません。
また序盤で戦死する幕将の王頎ですが、史実では蜀漢滅亡に至るまで長らく活躍する人物なのでここも首を傾げさせられるポイントでした。フィクションとしての表現であっても、随分と雑です。
そして、話自体もロバート・E.ハワード「妖蛆の谷」から色々と魅力的な要素をそぎ落としたような展開で、「妖蛆~」を知っていても唐突な打開策に目を剥き、三国志のネタを知っていれば困惑させられること請け合いでしょう。たぶん予備知識なしで読んだとしても、よくわからない時代のよくわからない反乱を題材にした怪獣活劇にしか受け取れないかと思います。
まあ、とにかく荒山先生は朝鮮ものが書きたいんであって、他の要素は添え物ということがよくわかる作品でした。

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