「あ」は「い」より大きい!?—音象徴で学ぶ音声学入門 の感想
参照データ
タイトル | 「あ」は「い」より大きい!?—音象徴で学ぶ音声学入門 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 川原繁人 |
販売元 | ひつじ書房 |
JANコード | 9784894768864 |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 言語学 » 言語学 |
購入者の感想
本書は、「音象徴」という「音そのものに意味/イメージはあるのか」という議論を題材にした音声学入門書である。ある子音を聞いた際に、それは「丸い」のか「角ばっている」のか、母音の中には「大きい」ものや「小さい」ものがあるのか、というように、誰でも興味をもちやすいトピックを中心に構成され、そこから音声学の知識(調音点や調音法、子音や母音の分類法、音の音響等)や分析手法(回帰分析・相関分析)にぐいぐい入り込んでいく、というスタイルである。さらには、「メイドさんの名前の分類」や「悪役の名前」、さらには「ポケモン」まで題材として扱っており、音声学初学者にとっても入り込みやすい。
著者である川原先生が実際に語りかけてくれるような文体で書かれているため、自然にぐいぐい読み進めていくことができるのが大きな特徴である。そのためか、最初はとても親しみやすかったトピックが、気づけば立派な「音声学研究」にまで突入していっており、「こんなところまでいけるのか!」と驚きを隠しえない。これは裏を返せば、どんなに身近なトピックでも、しっかりと1つ1つの事象に興味をもち、理解しながら進んでいけば、立派な音声学研究として成立することを示しているのだろうと思う。研究というものは、まずは読者に興味をもってもらってナンボである、という基本的なことを改めて教えてくれている。また、各章のトピックも、これまでの先行研究の積み重ねに裏付けられたものであり、充実した参考文献リストから論文や書籍等をたどっていくことも可能である。
著者自身(時には学生と!)の研究を基にしている部分も多く、実際に実験を行ったからこそ語ることのできる興味深い視点もふんだんに取り込まれている。また、図や資料の豊富さも特筆に値し、webpage上で公開されている映像や音声資料も大変有用である。学生自身がオリジナルな調査・実験を行う前に、実験や分析、考察方法の感覚を掴むことができるだろう。その際に、(現実問題難しいのかもしれないが、)本書を読みながら実験手法を真似てみる人向けに、サンプルのデータセット等も公開しておいてくれると、より深い学びが可能になるかもしれない。
著者である川原先生が実際に語りかけてくれるような文体で書かれているため、自然にぐいぐい読み進めていくことができるのが大きな特徴である。そのためか、最初はとても親しみやすかったトピックが、気づけば立派な「音声学研究」にまで突入していっており、「こんなところまでいけるのか!」と驚きを隠しえない。これは裏を返せば、どんなに身近なトピックでも、しっかりと1つ1つの事象に興味をもち、理解しながら進んでいけば、立派な音声学研究として成立することを示しているのだろうと思う。研究というものは、まずは読者に興味をもってもらってナンボである、という基本的なことを改めて教えてくれている。また、各章のトピックも、これまでの先行研究の積み重ねに裏付けられたものであり、充実した参考文献リストから論文や書籍等をたどっていくことも可能である。
著者自身(時には学生と!)の研究を基にしている部分も多く、実際に実験を行ったからこそ語ることのできる興味深い視点もふんだんに取り込まれている。また、図や資料の豊富さも特筆に値し、webpage上で公開されている映像や音声資料も大変有用である。学生自身がオリジナルな調査・実験を行う前に、実験や分析、考察方法の感覚を掴むことができるだろう。その際に、(現実問題難しいのかもしれないが、)本書を読みながら実験手法を真似てみる人向けに、サンプルのデータセット等も公開しておいてくれると、より深い学びが可能になるかもしれない。