山口百恵 激写/篠山紀信 [DVD] の感想

　１４歳の素朴な少女が芸能界という水に洗われ、多面的な魅力を持った魅力的な被写体として変貌していった変遷を観る事ができます。山口百恵の本人も自覚していないであろう魅力を引き出す事に成功した篠山紀信の凄さにはうなってしまいます。稀代の才能を持ったカメラマンで、この方の被写体となった方はみなさん、その魂からあふれだす魅力（オーラとでもいうのでしょうか）を存分に引き出してもらっていて、改めてその天才性に凄みさえ感じました。豪雨の中ずぶぬれで制服姿でアスファルトにたたずむ制服姿の山口百恵には、今のアイドルにはない高いプロ意識を感じ、また芯の強さと少女ゆえのはかなさも感じられ魅入ってしまいました。このフォトを契機にどんどんあか抜けていきますね。

　桜田淳子とのフォト＆山口百恵についての語りかけも、今となってはまったく別の人生を歩んでいるということで感慨深いものがありました。女の子を産んでいてその子が山口百恵にそっくりだったら、それは幸福なことだったろうか？などについても、しばし考えてしまいました。

　豊かとはいえなかった家庭を助けるために歌手になり、デビュー当初は翳りのある少女という印象でした。よく同期の桜田淳子と比較されていたのを覚えています。芯が強くてプロ意識も強く「ひと夏の経験」の歌詞は当時衝撃的で、ワイドショーなどでも「女の子の一番大切なもの」とは何なのか？と、とりあげられ当時、現在の上沼恵美子が姉とコンビを組んでいた「海原千里麻里」もネタとして使われたほどでした。
　コメントをよせている写真で、作家の野坂昭如が着ているセーターの山口百恵を編んだのは「桃尻娘」で鮮烈なるデビューを飾った橋本治の手によるものです。
　　
　しかしＮＨＫでこれを企画したスタッフは凄いですね。ただただ感服です。