やさしい本泥棒 [Blu-ray] の感想

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　ミュンヘン近郊の町へ里子に出された少女が、新しい両親の元、本を通じて豊饒な心の持ち主へと
成長していく様を、ナチス支配下のドイツを舞台に描いた映画。多分、親が共産主義者という理由で
殺される？という不幸な境遇の中で、字を知らなかった少女に文字を教える新しい父親、口は悪いが、
次第に少女と心のつながりが生まれる母親、そして少女に、戦争で死んだ息子の莫大な蔵書を読むこ
とを許す町長の妻など、少女をとりまく俳優陣の存在感が素晴らしい。主演のリーゼル役のソフィー
・ネリッセも、将来性豊かな演技で、好感が持てる（そのあまりにも大きな目がうらやましい！）。
隣家の同級生ルディー役を演じたニコ・リアシュの演技も光る。しかし、何よりもこの映画の全編を
通じてのモチーフは、ナチズムへの、一見静かではあるが、実は強烈なまでの怒りである。それにつ
きる。最後は連合国の空襲により、登場人物の多くが命を落とすが、少女は助かり、家にかくまわれ
ていたユダヤ人青年と再会、子や孫に囲まれて９０年の人生を生きた少女の生涯が暗示される。正月
から涙が出てしまった。