音楽の国ドイツの系譜学(1) <音楽の国ドイツ>の神話とその起源 ルネサンスから十八世紀 (“音楽の国ドイツ”の系譜学) の感想
参照データ
タイトル | 音楽の国ドイツの系譜学(1) <音楽の国ドイツ>の神話とその起源 ルネサンスから十八世紀 (“音楽の国ドイツ”の系譜学) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 吉田 寛 |
販売元 | 青弓社 |
JANコード | 9784787273284 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 |
購入者の感想
ドイツ音楽・ヨーロッパ音楽は普遍的である。ほんとに?でも確かに・・・なぜ?という疑問を,現在の視点から過去を時系列に追うことで逆照射した、博士論文2200ページの第1章・第2章を元にした労作です。ルネサンスの音楽理論書のスタンスの紹介から、ナチス時代の民族至上主義の時代でもシェーンベルクをドイツ精神の昇華と信じていたウェーベルンのエピソードを紹介するアドルノ「音楽社会学序説」や「啓蒙の弁証法」に見られるような、ドイツの国民性が音楽の抽象美に結晶化するまでを、詳細な事例・図版でわかりやすく、かつしばし深く考えさせられるように書かれた1冊です。続編「民謡の発見と<ドイツ>の変貌」も刊行されています。序章の50ページに、著者の意気込みと問題意識が明確に説明されていて、熟読するのに十分な内容を備えています。博士課程の20代から十数年かけて研究発展されているだけのことはあります。