正義・ジェンダー・家族 の感想
参照データ
タイトル | 正義・ジェンダー・家族 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | スーザン・M.オーキン |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784000258739 |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 女性学 » ジェンダー |
購入者の感想
本書は、近年の政治思想は、「正義」をめぐる議論から家族を排除し、現実に起こっている家族内の不正義を無視してきたという指摘のもと、家族内こそ正義を実現すべき場であるという主張をおこなっています。
家族という領域に正義の議論を持ち込むことへの反発や嫌悪は、本書の原著が出版されてから20年以上経過する現代の日本においても支配的な論調であるといえるのではないかと思います。なぜなら、家族は、「愛」や「感情」など正義よりも高尚な感覚によって規定される領域であると捉えられているためです。以上は、本書では「男性中心的な思想」のイデオロギーの作用もしくは見せかけのジェンダー中立性として批判されます。
本書は、コミュニタリアニズムとリバタリアニズムそれぞれの正義論を反駁していきますが、他方でロールズの正義論には家庭内やより広い社会におけるジェンダー構造に挑戦するための概念としての可能性があることを丁寧に論じています。その意味で本書はフェミニズムの批判の道具として正義概念を鍛え直すという意義をもっています。
フェミニズムの議論では、批判の的となりがちなロールズの正義論ですが、その正義概念の意義と可能性について改めて気付かされ、非常に勉強になりました。
家族という領域に正義の議論を持ち込むことへの反発や嫌悪は、本書の原著が出版されてから20年以上経過する現代の日本においても支配的な論調であるといえるのではないかと思います。なぜなら、家族は、「愛」や「感情」など正義よりも高尚な感覚によって規定される領域であると捉えられているためです。以上は、本書では「男性中心的な思想」のイデオロギーの作用もしくは見せかけのジェンダー中立性として批判されます。
本書は、コミュニタリアニズムとリバタリアニズムそれぞれの正義論を反駁していきますが、他方でロールズの正義論には家庭内やより広い社会におけるジェンダー構造に挑戦するための概念としての可能性があることを丁寧に論じています。その意味で本書はフェミニズムの批判の道具として正義概念を鍛え直すという意義をもっています。
フェミニズムの議論では、批判の的となりがちなロールズの正義論ですが、その正義概念の意義と可能性について改めて気付かされ、非常に勉強になりました。