蕎麦ときしめん (講談社文庫) の感想

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タイトル蕎麦ときしめん (講談社文庫)
発売日2013-12-06
製作者清水義範
販売元講談社
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購入者の感想

この短編集の中の一編、『三人の雀鬼』は秀逸だ。

『パスティーシュ』と銘打ってある通り、阿佐田哲也の、昭和44年の『麻雀放浪記』と昭和55年の『東一局五十二本場』から引っ張っている。和田誠の映画が昭和59年だから、それよりも更にあとだ(『雀鬼』の初版は平成元年)。

この咄で面白いのは陸続と出てくるイカサマである。わたしは『麻雀放浪記』を読んでいないので、それら作中の「サマ」が『放浪記』に出てくるものか、清水氏の研究の成果であるのか、わからない。置きザイや元禄、コスミ返し程度ならわたしにもわかるがエレベーター、逆モーションになってくると中クラスだ。しかし清水氏はそういう状況になってもちゃんと解説をしてくれているから意味不明には、ならない。

九連宝灯を純正で和了すると死ぬ、というネタは中学生でも知っていようが、映画でも出目徳(でめとく。映画では高品格(たかしな かく)が演じて、すごい存在感だった)は本当に死んでしまう。それはそれと、レートは1点1、と言われて主人公が1点千円ならとてもできないと思っていると(ここで主人公がAクラスだとわかる)「1点1銭。ハコで三百円」と言われて安堵する場面がある ---- のだが、和田誠の映画でも黒澤明の映画でも「大丈夫かい、三百両がとこいってるぜえ」とか「10円か。高いな。新鮮なやつじゃなきゃダメだぞ」と言って志村喬がオガクズから玉子を出して陽に透かしているシーンがある。どうも昭和20年代なかばまで「両」という計数があって、大蔵省の「円」はその日その日で相場が変動していたようなフシがある。

けっこう楽しめた。最後に。この小説家は「国文科」あたりを出自としているようで、国語や日本語をテーマにした作品も多いが、そっちはあまり面白くない。わたしの表現で言えば小松左京的に面白くない。

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