【Amazon.co.jp限定】天野可淡 復活譚 ポストカード1枚付き の感想

荒涼とした殺風景の中に置かれ、えも言われぬ「かなしみ」を漂わせる可淡ドール。
ダークトーンの、暗い・黒い写真が主で、
全体に通好み・アーティスティック偏重・マニアック偏向。

人形たちの凄みのある存在感、畏怖を覚える内包された闇、歳月に洗われてゆくかなしみ……
そういった方向に偏り、「Side-B　晩秋〜冬」といった風情。
巻末に近づくにつれ、グロテスクな傾向を増し、
おそらくは「２冊目の写真集」として購入する向き。

自分的には、桜舞う季節や木漏れ日の下、やわらかで温かな午後の日差し溢れる静謐な室内……といった、儚くもただただ美しいシチュエーションも欲しかった。

凝った撮り方の写真よりも、シンプルな写真の方が、訴求力があり……
可淡ドール自体の「存在感」「生命力」を際立たせる。
トルソーのみを写した簡潔な１枚に、それは如実。
肌表面は風化が進みながらも、息をのむほど艶（なまめ）かしく、現実より生々しくそこに息づいている。

昨今の事情なのかもしれませんが、「本文の紙厚が薄い」ため、扱いには注意。