「最前線の映画」を読む (インターナショナル新書) の感想

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参照データ

タイトル「最前線の映画」を読む (インターナショナル新書)
発売日販売日未定
製作者町山 智浩
販売元集英社インターナショナル
JANコード9784797680218
カテゴリジャンル別 » エンターテイメント » 映画 » 映画ガイド

購入者の感想

普通、レビュー、映画紹介本を手に取る方は多くはまだ見ていない映画の中で「面白そうだな」と思える映画を見つけることを期待しているでしょう。同じ作者の「トラウマ映画館」はそのニーズに答えるという意味で典型的だったと思う。

そういう意味ではこの本は少し異質。
この本の帯には「あの話題作、ヒット作に隠された『暗号』を解読する!」と書かれている。

つまり未見の方に作品の良し悪しを伝える、というよりは「1回劇場で見て、面白かったけれど・・・よくわからなかった、あるいはちょっと引っかかるところがあった」という方に制作者の背景や制作環境(制作国)の事情を解説し、日本人にはわかりにくい映画のメッセージを伝えることに主眼をおいて書かれた「解説本」です。1本あたりの分量も短く、最長の「沈黙-サイレンス-」(第6章)でも17P、最短の「ドント・プリーズ」(第4章)や「シンクロナイズドモンスター」(第9章)に至ってはわずか4Pしかありません。

例えば第4章の場合4Pのうち3Pが「デトロイトはどうしてディストピア的な世界観の映画の舞台に多く使われるか」に費やされ、映画そのものに触れた部分は最後の約半ページだけ。前情報なし映画未見の状態でこの文章だけ読んで「ドント・プリーズ」がホラー映画の1種だと判断できる方はほとんどいないのではないでしょうか?(笑)

本として不出来なわけではありません。映画だけではなく、小説・絵画・音楽・文化など多分野の知識を駆使して独自の感性で映画を読み解く町山節は健在。私が最も感心したのが第6章。遠藤周作とグレアム・グリーン、エリア・カザンと赤狩りなど断片的な知識はあったが、マーチン・スコセッシの作った映画「沈黙-サイレンス-」を結実点として「転向」を扱った作家達の苦闘の精神史にまとめた文章はコンパクトながら読み応えがあった。

取り上げられた映画そのものに対する町山氏の評価はどうなんだ、という☆取りの感覚で読まれると不満に思われる方も多いと思うので、その点にはご注意を。

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