麗しのドレス図鑑 の感想

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この価格でここまでの情報量は破格だと思いました。私自身、絵描きなので今までも自分なりに資料を集めて多少なりとも知っていたつもりでしたが、この本を読んで初めて知る知識ばかりでした。
サンプルページにもあるように、本著では1．ゴシック期（中世後期）～ルネサンス　２．バロック期～ロココ時代　３．帝政時代～19世紀後半　４．19世紀後半～20世紀初頭までのドレスの流行の基本形が載っています。全体のシルエット、頭の装飾品、髪型、袖やスカートの膨らみ加減、襟やパニエ・バッスル・クリノリンの形状の変遷を丁寧な解説と共に知ることができます。イングランド、フランス、スペイン、イタリア、オランダ、オーストリアなどのドレスが解説されていますが、主にイングランドとフランスが多いです。
全体を通して「ここを押さえておけば、この時代のドレスっぽくなるよ」という共通項的特徴を図と共に名称が明記されているところが絵描きとしては特に嬉しかったです。こういう年代ごとに網羅してくれる解説本、ずっと待ってました。今まではネットで検索したくてもドレスの様式やパーツの名前が分からなくて上手く画像検索ができなかったので……。
また、解説の中で特に印象的だったのが、その時代ごとの流行がどのような思想的背景から生まれ、そして人々にどのように受け入れられていたのかという部分です。時代によって特定の色や様式が好まれますが、それらは時代ごとの女性観やイデオロギーに基づきます。本著ではそれらの背景が折に触れて解説されているため、流行を女性達がどのように発案、受容したのかを知ることができ、読み物としても非常に面白かったです。いい買い物をしました。