奈良絵本 下 (紫紅社文庫 9) の感想

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参照データ

タイトル奈良絵本 下 (紫紅社文庫 9)
発売日販売日未定
製作者工藤 早弓
販売元紫紅社
JANコード9784879405814
カテゴリ »  » ジャンル別 » アート・建築・デザイン

購入者の感想

「奈良絵本」の美しい作品を掲載した文庫版に依る画集。
上巻に続いて、この下巻では『賢学草子』『玉藻の草子』『花鳥風月』『小男の草子』『竹取物語』『武家繁昌』『弁慶物語』『高館』『薄雪物語』『徒然草』『百人一首』の11作品を紹介している。

因みに、粗筋を紹介した上で作品を掲載すると言う内容は上巻と同じではあるが、この下巻では、絵本仕立てとしては珍しい『百人一首』を載せている点が特筆に価する。
言う迄もなく、平安時代の衣を纏った持統天皇、或いは「業平菱」とも名付けられた文様の装束に身を包み、武官姿で表された在原業平も健在だ。
本来ならば、持統天皇は古代の装束、業平は高貴な生まれである事から武官の装束である筈は無いのだが、いつの間にか定着したとされる、これらの姿を本書で確認出来たのは非常に有意義だったように思う。
残念ながら全員が揃っている訳ではないのだが、それでも、子供の頃に親しんだ《百人一首》の絵柄を髣髴とさせる雅さがあり、親しみ易さと同時に、何やら懐かしさすら感じてしまった次第である。
また、全く別の視点では『弁慶物語』も興味深かった。
暴れ捲る弁慶を障子の影から恐々覗いている職人達の姿は笑いを誘い、如何にも「手が付けられない」と言う状態を実に良く表しているのだ。
制作者の高い技量と表現力を示す作品として実に印象的でもあり、こうした作品を単なる「娯楽の為の絵本」と位置付けてはならないと実感した程である。
奈良絵本というと、時には稚拙な描写や荒い筆致もあるが、この下巻に収められている作品はどれも質が高く、見応えは充分であったように思う。

但し、これは上巻のレビューにも書かせて頂いた事なのだが、やはり文庫版というサイズが欠点になってしまう。
奈良絵本の作品集はそれ程多く出版されている訳では無いので、貴重な画集が手に入った事自体は嬉しいものの、その一方で、これが大型本であったらどんなに素晴らしかったか…と思うと、なんとも遣る瀬無い気持になってしまうのだ。
上下巻を通して内容自体が素晴らしかっただけに、このコンパクトさだけが残念でならない。

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