社会学史 (講談社現代新書) の感想

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参照データ

タイトル社会学史 (講談社現代新書)
発売日販売日未定
製作者大澤 真幸
販売元講談社
JANコード9784062884495
カテゴリ » ジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想

購入者の感想

社会学の歴史を概説した本とのことだが、実に盛りだくさんである。
まず社会学史上の有名人の業績の(著者の思い込みが多分に含まれた)まとめ。ここはややありきたりかつこじつけが強すぎる感があるがそれなりにまとまっており、社会学者を本職とする著者の面目躍如といったところ。
だが本書の目玉はそこではなく社会学の実演としての側面である。
本書のはしがきによると社会学史そのものが社会学の研究になるらしい(まずこのはしがきからして意味不明。著者の弁によると近代社会は自己意識をもち、その近代社会の自己表現の一つ社会学らしいが、近代社会という人間集団の自己意識とはなんだ?個体の自己意識ですら実態が定かでないのに、集団の自己意識なぞ定義できるわけない)が、筆者の言葉通り、社会学が実際にどう研究されているかがこの本を読むとよくわかる。
数学理論の濫用、粗雑な議論、雑なアナロジーからの議論のすり替えなどなど、盛りだくさんすぎてもう正直お腹いっぱいである。ハイライトはゲーム理論でホッブスのリヴァイアサンの否定を「証明」してみせたところだろう。17世紀の学者の理論を20世紀の、しかも他人が組み立てた理論で否定してドヤ顔するみっともなさはとりあえず置いておくとして(この著者は数理社会学者だしその視点から見てしまうのは仕方なかろう)、ゲーム理論で否定するまでの思考過程と仮定(このダジャレは笑うところねw)があまりにも雑すぎて笑ってしまう。数理科学用語と理論の濫用を戒めたソーカル事件から和製社会学が何一つ学習(おっと、学問分野などという人間集団に統一された意識があるはずない以上、学習なんて動詞を使うべきでなかった。和製社会学ではなく一部の和製社会学「者」とすべきでしたな、失礼)していないことがここで明らかとなり、和製社会学分野の書籍として完成されすぎていてもはや美しさすら感じられる。
こんなのの著者が天下の京大の教授になれてしまう和製社会学という分野のお寒い実情がよくわかり、極めて教育的な一冊。星一

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