マンスフィールド・パーク (ちくま文庫) の感想

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読んでも、読んでも、続きがある分厚い文庫本を、
生活の諸事に中断されながら、
続きを楽しみにワクワクした気持ちを持ち続ける日々。
これこそが、「読書の楽しみ」というものです。

戻って一行読み間違えたのではないかって思うくらい、
同じことが何度も繰り返し書かれた独特の文章は、
「くどい」というより、波長が合えば名調子、ある種の快感に。

勧善懲悪な道徳小説です。
他愛のないおとぎ話です。
筋を追うよりも、作者の語り口が楽しい。

作者の真意を読み解こうと思ったり、
文学的な価値を裁こうなんて思わなくったって、
日々の楽しみ、時になぐさめに、
この小説を味わうことをお勧めします。

時に…、文庫本も随分高価な買い物になったものです。
けれど、この作者に限って「中古本１円」なんて飽和状態にはなりそうもありません。
綿密に書きつづられた文章の中から立ち上る空気に魅了された読者は、
きっと手放すことができなくて、その後の人生の折に触れて、
一度ならず手に取ることになるでしょうから。