日本共産党の研究(一) (講談社文庫) の感想

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タイトル日本共産党の研究(一) (講談社文庫)
発売日販売日未定
製作者立花 隆
販売元講談社
JANコード9784061830417
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政党

購入者の感想

先日ユン・チアンの『マオ』を読んだばかりで、中国共産党との比較を楽しみながら読むことが出来ました。

戦前の日本の共産党も、中国同様、コミンテルンからの莫大な資金を頼みにしつつ、彼らの意向に盲従して動いていたというのは、私には割とショッキングな事実です。一方で、自由に動き回れる動乱中の大陸と違い、日本は既に近代社会が成立していて、共産党と政府機構との間には初めから力の圧倒的差があったのは最も大きな違う点だと感じました。

同時に、日本も毛沢東のような破格の指導者がいれば革命が起きたのでは?という可能性を想像してしまいました。
というのも、本書によれば、戦前の日本共産党の欠陥として、次のような特徴をあげていますが、それらが毛沢東下の共産党ではありえないなあと思えたからです。

①すぐ自供、転向してしまうインテリ層の覚悟の無さ
②地下活動の経験不足(中国共産党のように政府にスパイを沢山送る側だったのではなく、逆に政府からスパイを送られまくっていたという不甲斐なさ)
③組織力不足(党員同士でも素性を隠しあう程度の秘密性はあったが、その分、特高のスパイが入っても気づきにくくなった。毛沢東の場合、党員に絶え間ない思想チェックや生活監視を強いて、鉄壁の組織結束力を築いた)

やはり、毛沢東のいる中国共産党と違い、戦前の日本共産党は初めから何かが欠けていたのだと思います。
いや、穏やかすぎる日本人には、19世紀ロシアの「人民の意志」のテロリズム精神を遠景にもつレーニン主義の冷酷さにはついていけなかったようにも思えます。
実際、中国同様にモスクワの学校で共産主義の思想と訓練を学びに留学していた若者がいたのに、中国共産党の康生のように拷問の技術を学んで帰ってきた人もいませんでした。それどころか、本書によるとモスクワ帰りの日本人こそすぐに当局に屈してしまうような人たちだったのは皮肉です。

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