キツネノマド の感想

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デビュー時から9ｍｍファンとしてずっと彼らの軌跡を追い続けてきました。
彼らの音楽には常に新しさと共に昭和歌謡的なノスタルジーも同居しているのが魅力でしたが、そこからまた
菅原氏と滝氏の2名のユニットとしても活動が始まったキツネツキはさらに音楽としてのシンプルな楽しさを
追及したプロジェクトだと思います。

9ｍｍのサウンドに漂う切なさや激しさ、無常感も素晴らしいのですが、うってかわってこちらのキツネツキは
どこかシュールながらも心地よさに中毒性があります。幼い頃耳にした童謡はわりと歌詞が意味不明でも
妙に耳に残る曲が多かったと記憶していますが、顕著なのはリード曲である「てんぐです」の歌詞が特に深い
メッセージ性を押し出すのではなく、ただただ聴いていて心地の良いサウンドと小気味よい言葉遊びの妙が
マッチした快作なのがこのアルバムの方向性を決定づけているのではないでしょうか。

他にも「小さい秋見つけた」「小ぎつね」「証城寺の狸囃子」などの童謡カバーが原曲の魅力を損なう事なく、
むしろロック調になることによってメロディーの美しさを再確認できるようなアレンジになっています。
もちらんオリジナル曲の数々もひとつひとつが素晴らしく、心に引っかかるフックがありパンチが利いています。

惜しむらくはアニメタイアップも付いていたシングル「ケダモノダモノ」が収録されていない点ですね・・・
そこが唯一の欠点ですが、それを補って余りある魅力にあふれた名盤だと断言できます。
前述した「てんぐです」はYou Tubeで公式PVがありますので、気になる方は一度視聴してみると良いでしょう。

このアルバムを一言で表すならば「２１世紀型ネオ童謡」。お子様の情操教育にもいかがでしょうか。