善く死ぬための身体論 (集英社新書) の感想

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参照データ

タイトル善く死ぬための身体論 (集英社新書)
発売日2019-04-17
製作者内田 樹
販売元集英社
JANコード9784087210736
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 哲学

購入者の感想

武道論・身体論より文明論だ。武道家内田樹氏とヨガ指導者成瀬雅春氏の身体論対談。頸動脈二つと腕の脈(三脈)が一致しない場合、危険を予知する必要があるという。成瀬氏の雨乞い祈祷など不思議な、しかも理論では説明出来ない何とも不思議な身体論だ。ヨガはインド古来の修行法である。その源流にバラモン教の思想がある。バラモンが厳しい修行に励むのは輪廻の苦しみから解脱するためだ。ヨガの教えにも継承されていることが成世雅春氏の説明で納得出来た。
しかし、面白かったのは、二人の文明論への脱線だ。人類は西へと進み、拡大するという不思議な法則だ。中国では漢民族は西へと支配領域を拡大した。シルクロードも、鄭和の南海遠征も、西へ向かうものだった。日本への元寇は、高麗と南宋の兵士を送り込んだものであるが、フビライはベトナム遠征に転じて日本征服は断念された。アメリカのフロンティア消滅は東海岸から西海岸への発展であった。その延長線上にペリーの黒船来航があった。
ところで、東への遠征はことごとく失敗した。ナポレオンとヒトラーのロシア遠征は完敗であった。日本軍の太平洋戦争もアメリカ軍に完敗した。ここから、中国が尖閣諸島を実効支配して日本領域を脅かす政策は失敗するであろうことが予見出来る。内田氏は学生時代、西へドライブするのが常であったという。そう言えば自分もなぜか出かけるのは西の方が多い。不思議な、しかも根拠のない世界史の法則である。
他にも本書は読み所満載だ。「善く死ぬ」極意など学ばなくともいつか必ず死ぬ。達観して生きるのも大切だ。お勧めの一冊だ。

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