【カラー版】ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫) の感想

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参照データ

タイトル【カラー版】ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫)
発売日2014-06-05
製作者高野秀行
販売元集英社
JANコード登録されていません
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 日本のエッセー・随筆 » 近現代の作品

購入者の感想

本作品は、2004年に著者が、冒険小説作家・船戸与一(2015年4月没とのこと。ご冥福をお祈りします)の取材旅行に同行する形で、ミャンマーを旅行した時の様子を描いたノンフィクション。
これほど面白おかしく、楽しいノンフィクションを初めて読みました。
著者は、こうしたエンタテインメント性に富んだノンフィクションを「エンタメ・ノンフ」と称しているそうです。

そもそも題名に「柳生一族」が使われていることからして、ユニーク。
これは、2004年当時の軍事政権下のミャンマーの政治状況を表現するのに、「軍事政権=江戸幕府」とし、旅行の際に、監視役として著者と船戸与一にぴったりとつきまとってきた軍情報部のミャンマー人たちを、徳川家の隠密になぞらえて、「柳生一族」と称しているためです。

つまり軍事政権下のミャンマーを、江戸時代のような武家社会に喩えているわけで──このような奇抜な発想を一見すると、バカバカしい旅行記のように思えてしまいます。
しかし、そのようなことは全くなく、時折、吹き出しそうになる場面を盛り込みながらも、ミャンマーの国政や国民性について、丹念に書き込まれ、一種の「ミャンマー入門」のような書物になっています。

そもそも日本人は、アウン・サン・スーチーを話題にしたニュースでしか、ミャンマーのことを知らないという方が多いのではないでしょうか。
一体彼女が、政治的にどんな位置づけなのか、ミャンマーという国がどんな道を歩んできたのか、私もほとんど知りませんでした。

ミャンマーと言えば、2015年11月に、アウン・サン・スーチー率いる国民民主連盟が総選挙で圧勝し、民政の定着へ向けて大きく進み始めたことが報じられたばかりです。
本書を読めば、この流れの萌芽が、2004年当時の国民の間に生じていたことが読み取れます。
そんな意味で、私にとっては大変勉強になる一冊でした。

なお、繰り返しになりますが、文体そのものはエンタテインメント的ですので、楽しみながら読めることは請け合います。
それでいて、ミャンマーの国情も理解できるという一石二鳥の優れモノとして、大いにオススメします。

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