Need の感想

若返りの薬で現実の高校生活をもう一度やり直すという、非現実的過ぎて今までありそうでなかった破天荒ストーリー。
全13話のシーズン１が放送されたのが2016年、そして「完結編」として新たに制作された４話が2018/3/21にBlu-rayで発売されたばかり。
まさかのAmazon Primeでの同時配信です。太っ腹。

着想は変わっていますが、基本的には学園青春アニメの変形として捉えてよいと思います。高校でのエピソードに関しては、普通の学園モノならよくあるパターンが多いので。
ただ、主人公の視点が高校生ではなく三十路手前のおっさん？のものというのがポイント。いい年した大人がジェネレーションギャップを感じる様子があるあるで面白い。主人公と近い30前後の方なら更に共感できるでしょう。

このアニメ版は暗い要素がほとんどなく、全体的に優しく暖かな情感に包まれているのが特徴です。
登場人物たちは皆いい人ばかりだし、自分のリライフを頑張りつつも高校生たちを暖かく見守る主人公の目線が優しく、ほっこりさせてくれます。
主人公とヒロインの関係性の持たせ方も自然で、恋愛感情へと発展する流れも無理がなかったと思います。
伏線が判りやすいため先の展開はあらかた読めてしまいますが、それでつまらなくなるといったことはありません。それというのも作品の着想の奇抜さだけに頼っているのではなく、主人公の心と感情の変化を丁寧に描くことで視聴者に「体験」を過程として十分に共有させているから。
物語後半からエピローグにかけては、展開と演出、キャラの心情が主題歌の詞と切なくも爽やかに重なり、胸が締めつけられます。

基本設定があまりに非現実的だったり、キャラクターがあまりに良い人ばかりで現実味がない、という感想を抱く方もいると思います。
主人公はリライフの実験対象に選ばれてはいますが、もともと運悪く最初の就職先がブラックだっただけで、人格面や肉体面、精神面で重大な問題があったわけではありません。むしろかなりの好青年です。成功するべくして成功した実験対象だったと言えるでしょう。