伊勢白山道写真集 神々の聖地 白山篇 の感想

　国立公園である白山の遠景や周辺の神社や木々などを写した写真に、短い言葉を添えた写真集｡「【新版にあたって】はじめに」によると、平成21年に刊行された写真集に掲載された写真に、新版を刊行するに当たって新たに撮影された写真を加えたものとのことである。どの写真にも、静謐かつ神聖にして荘厳かつ凜乎たる空気が歴然と漂っている。これは、この山の持つ雰囲気であるとともに、撮影者兼著者の精神を写し出したものでもある。短い言葉の端々に、素朴な信仰心、自然への畏敬の念、生かしていただいていることへの感謝の念が溢れており、撮影者兼著者の繊細な感受性に繰り返し胸を打たれるとともに、俗塵に塗（まみ）れて齷齪（あくせく）と暮らす自分の感性が如何に摩滅し、荒廃しているか、ということも思わずにいられなかった。
　日本は紛れもなく神の国である。そんな思いを今さらながらに新たにすると同時に、心が洗われるようなひと時にしばし浸ることが出来た。