Summer Pockets 初回限定版 の感想

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もう忘れた夏を思い出させてくれる物語です。
子供のころ、友達といろんなことをやり、いろんなところを走り回ってたなぁとシミジミと思い出させられました。
そんな夏の一欠けらを体験といっていいのかわかりませんが、体験させてくれます。
中身自体は、「KEYは変わらずKEYである、奇跡が起きてハッピーエンド」それがいいんです。
さぁ、卓球やろうぜ。

約20年間 Key作品を楽しんで来ましたが、その中でも断トツに、人にオススメし易い作品だと感じました。
それは、Keyの良さがありながら、分かりやすく、癖の少ない作品になっているからです。かと言って、昔からのファンも置いてけぼりにしていません。ONE, KANON, Airなど、過去作品を思い出すようなセルフオマージュが随所にあります。

しかし、私にとっては総評80点の出来だったと言えます。それは原案者である麻枝さんが代弁してくれています。
『「感動的なお話しだった」と言う感想になるのではなく、クリックをしながら涙を流す、「本当に泣いた」と言う評価を得ないとKeyは終わると覚悟して挑んだ』や『ラストシーンは「惜しい」と感じた』です。

昔からのファンにとっては、先の展開が読めてしまうのです。まるで、常に2周目Playをしているような感覚です。「あー、こうなるんだろうなぁ・・・でも、折角だから泣きながらお話しを読みたいな」と思い、泣こうと思って泣く。別の言い方をすれば、予定調和を楽しむ感覚です。
難しいですよね、大衆向けを狙うなら、「理不尽さ」や「難解さ」を排除した作品にしないといけない。しかし、人の心を揺さぶるには「意外性」と「予定調和」のバランスが常に求められる。私は、麻枝さんが好む、絶望感じるBAD ENDのようなストーリーも好きですし、そこから「叶わない奇跡が叶う」感覚をより強く感じさせてほしかったです。だからこその80点です。
しかし、人にオススメしたくなる良い作品なのは間違いないです。Keyと言うブランドが歩き続けた結果がこのSummer pokets。「均衡はこの作品にある」のだと感じました。次も期待しています！