満願 の感想
参照データ
タイトル | 満願 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 米澤 穂信 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784103014744 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 文学・評論 » ミステリー・サスペンス・ハードボイルド |
購入者の感想
個人的に柘榴と満願が気に入りました。
どちらの話も女性の芯の強さあるいは
心底に抱えたものすごい熱とでも呼べそうなものを表現するための洗練された工夫が施されている。
拝見したのはまだ三冊目ですがこの作者、人の内面を詳細に書く。
行数では無く、(うまく表現できないので)上記を繰り返すがとても「工夫」された文章を読み手にぶつけて来る感じ。
あらためてミステリーとは
まずもって人が何を考えているかわからないってところが面白いんだと。
kindleになっている作品数が多いのもありがたい。
もう一冊読んでみたい。
どちらの話も女性の芯の強さあるいは
心底に抱えたものすごい熱とでも呼べそうなものを表現するための洗練された工夫が施されている。
拝見したのはまだ三冊目ですがこの作者、人の内面を詳細に書く。
行数では無く、(うまく表現できないので)上記を繰り返すがとても「工夫」された文章を読み手にぶつけて来る感じ。
あらためてミステリーとは
まずもって人が何を考えているかわからないってところが面白いんだと。
kindleになっている作品数が多いのもありがたい。
もう一冊読んでみたい。
2014年末の各社のミステリランキングで上位に挙げられた本書(なお、山本周五郎賞も受賞している)、その「満願」という題名を見た時、「これ、読んだことがある」とすぐに気づきました。
この表題作は、「ザ・ベストミステリーズ2011」という日本推理作家協会編集のアンソロジーに収録されている短編で、私は、2011年に読み、収録作の中で印象に残った作品として、既にレビューを掲載しています。
それなのに、なぜ今回、本書を手に取ったかというと、「満願」以外に、未読の短編5編が収録されているからで、「満願」のレベルを考えてみると、粒ぞろいの作品集になっている可能性が高いと判断したからです。
結果は、期待どおり。
しかも、連作短編集のようなシリーズものではなく、それぞれが全く異なる題材、シチュエーションで構成されており、著者の引き出しの多さを感じることができ、思う存分に楽しむことができました。
以下、収録作ごとに、1.は設定、2.は主たる謎を紹介します。
【夜警】
1.交番勤めの警官が新人を迎え入れる。
2.新人がトラブルに巻き込まれて死亡、その事件の真相は?
【死人宿】
1.行方知れずとなったかつての彼女が、「死人宿」と呼ばれる宿屋で仲居をしているのを発見。
2.訪れた宿の露店風呂の脱衣室に「遺書の落とし物」があった。死のうとしている客は誰か?
【柘榴】
1.二人の娘を持つ女性が、夫との離婚を決意。
2.離婚の審判で、親権を得るのは、どちらか?
【万灯】
1.商事会社勤めの男がバングラデシュの天然ガス開発に奔走する。
2.現地反対住民のリーダー殺害の話を持ちかけられた主人公は、完全犯罪を成し遂げられるのか?
【関守】
1.都市伝説の依頼を受けたライターが、伊豆の現場を訪れる。
2.現場近くのドライブインの女主人が語る、都市伝説の真相とは?
【満願】
この表題作は、「ザ・ベストミステリーズ2011」という日本推理作家協会編集のアンソロジーに収録されている短編で、私は、2011年に読み、収録作の中で印象に残った作品として、既にレビューを掲載しています。
それなのに、なぜ今回、本書を手に取ったかというと、「満願」以外に、未読の短編5編が収録されているからで、「満願」のレベルを考えてみると、粒ぞろいの作品集になっている可能性が高いと判断したからです。
結果は、期待どおり。
しかも、連作短編集のようなシリーズものではなく、それぞれが全く異なる題材、シチュエーションで構成されており、著者の引き出しの多さを感じることができ、思う存分に楽しむことができました。
以下、収録作ごとに、1.は設定、2.は主たる謎を紹介します。
【夜警】
1.交番勤めの警官が新人を迎え入れる。
2.新人がトラブルに巻き込まれて死亡、その事件の真相は?
【死人宿】
1.行方知れずとなったかつての彼女が、「死人宿」と呼ばれる宿屋で仲居をしているのを発見。
2.訪れた宿の露店風呂の脱衣室に「遺書の落とし物」があった。死のうとしている客は誰か?
【柘榴】
1.二人の娘を持つ女性が、夫との離婚を決意。
2.離婚の審判で、親権を得るのは、どちらか?
【万灯】
1.商事会社勤めの男がバングラデシュの天然ガス開発に奔走する。
2.現地反対住民のリーダー殺害の話を持ちかけられた主人公は、完全犯罪を成し遂げられるのか?
【関守】
1.都市伝説の依頼を受けたライターが、伊豆の現場を訪れる。
2.現場近くのドライブインの女主人が語る、都市伝説の真相とは?
【満願】
ミステリというより、『世にも奇妙な物語』に近い。理路整然としたストーリー・テリングと文体は説得力があり、読んでいてわからないことはひとつもない。その上、物語の裏側できちんと構築がなされているから、すべてが明らかになったとき、読者はもう身動きが取れないようになっている。見事としか言いようのない作品がいくつかあった(そうでないものもいくつか)。十分、読むに値する一冊である。
全六話中で最も推理小説的な謎解き味のある「夜警」、主人公の内面描写が胸に響いた「死人宿」、母と娘の危うい関係を描いてこれは凄いと唸らされた「柘榴」、城山三郎全盛時の経済小説を思わせる「万灯」、怪談めいて次第に背筋の寒くなった「関守」、そして松本清張の女性物とも比肩すべき秀逸なプロットの「満願」。日常的な滑り出しに始まり、やがてあらわれる些細な謎と波紋、そしてその脇でドップリと暗い穴を開けて読者を引きずり込もうとする人生の深淵のどす黒さ。どれも読み始めると止まらない、正に一気読みの一冊。
どれか一篇選べと云われれば、評者は「柘榴」を選ぶ。
どれか一篇選べと云われれば、評者は「柘榴」を選ぶ。