田中くんはいつもけだるげ(5) (ガンガンコミックスONLINE) の感想

いきなり個人的なことで恐縮ですが、僕がどうしてこの漫画と出会ったか、をまずは書いておきたい。僕は日曜の深夜1時台、ある台湾ドラマを毎週欠かさず録画して見ていた。で録画予約するときに、その台湾ドラマの後続の番組に『田中くんはいつもけだるげ』というアニメが始まり、なんだこの変なタイトルは？　と気になった。それでも1話目はスルーしたのだが、あるとき行きつけの本屋にこの原作本が平積みされていて、その横に試し読みが吊るしてあったので、ちょっと読んでみた。漫画の中の田中くんは本当にけだるげで、僕はこの子がどんな風に活躍するのか（しないのか？）続きが気になって仕方がなくなった。気がつけば5巻分のコミックを手にしてフラフラとレジに運んでいた…。

というわけで、僕は今『田中くんはいつもけだるげ』のレビューを書いているのだ。とりあえず僕が現時点で読了したのは5巻まで。巻を追うごとにキャラクターは増えているものの、話の基本パターンは、まあ原則4コマ漫画ということもあるけれど、毎回同じである。いつもけだるげな田中くんと親友の太田を中心に、高校生たちの日常がただひたすらスケッチされていく。取り立てて大きな事件が起きるわけではなく、例えば鈍行と快速を乗り間違えて降りるべき駅に降りられない、といった微笑ましい出来事が多い。こうした日常を巧みな画力で面白く描いてみせているのである。これ何かに似ているな…と考えて、はたと気づく。少年漫画なら、江口寿史の『ストップ!!ひばりくん！』などの系譜に連なる世界観ではないか。