短くて恐ろしいフィルの時代 の感想
参照データ
タイトル | 短くて恐ろしいフィルの時代 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | ジョージ・ソーンダーズ |
販売元 | 角川書店(角川グループパブリッシング) |
JANコード | 9784047916449 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学 |
購入者の感想
こんなに軽やかで楽しく、そして考えさせられる本は久しぶりだった。内ホーナー国と外ホーナー国の対立の物語。外ホーナー人のフィルという抜け目のない男があれよあれよという間に独裁者になり、寄る辺なき身になってしまった内ホーナー人を粛清にかかる。内容はシビアで世界で現在進行中の地域紛争を惹起させるが、登場人物が機械のような想像上の生き物で、ユーモラスでもあるがグロテスクでもあり、リアリティーは多少軽減されている。初めはおとぎ話のように展開するが、だんだんと恐ろしさが迫ってくる。世界的な景気低迷が続き、情報過多の現代では、この手の紛争は、規模の大小を問わず、起こりそうだなあと思わせる。正義の追求だけでは、生きにくい人間社会の複雑さが身に沁みる。