うたのしくみ の感想

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参照データ

タイトルうたのしくみ
発売日販売日未定
製作者細馬 宏通
販売元ぴあ
JANコード9784835618760
カテゴリジャンル別 » エンターテイメント » 音楽 » 音楽理論・音楽論

購入者の感想

「うたのしくみ」というタイトルどおりの本です。専門は「会話とジェスチャーの分析」と、今度の奥付には書かれている人間文化学部の細馬教授の新著。

 前半20本は、ブルースやサンバ、フォークソングにシンガーソングライター(ユーミンなど)の歌、ビートルズにアメリカ民謡、ラグタイム、日本の唱歌とさまざまな作品をとりあげ、いわばその「キモ」ともいうべき魅力の種明かしをしています。唄は歌詞と不即不離。アメリカ音楽史にも詳しい著者として、各所に「クーン・ソング」などキーワードの解説もあり。

 内容ですが、たとえば、ボサノヴァは、一番、二番というのではない、同じ歌詞を繰り返すことで円環的に人をのみこんでゆく音楽であること。ユーミンの「やさしさに包まれたなら」におけるメロディと歌詞「ちいさい」の関係では、わずかな「っ」(促音)をおいて、次の鋭いshの音を予告するという構造がいくつもひそんでいること。「お正月」の唱歌では、遠くにあるお正月が、くりかえされることによって、ここ現在になってゆくこと。aikoの「くちびる」では、耳から聞こえる歌詞が、予想される言葉を裏切り、ひっくりかえしてゆく面白さがあること。「雪山賛歌」におけるヴァースとコーラス部分が同じメロディであることによって、替え歌をひとりでに誘い出すこと。「虹の彼方に」(「オズの魔法使い」)にはオープニングヴァースがあり、メインのところはコーラスであること、そのほか脚韻の問題、チャック・ベリーの独特のリズム感などなど。

 中でも面白かったのはビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の冒頭のノイズっぽい部分が、「歌手の登場を紹介する司会者の口調」のもじりであったこと。「いのちの記憶」(二階堂和美)の歌詞の「ふかく」の発音が、深部へ降りてゆくような感じではなく、歌詞にのっとって、感情がむしろ「周縁」のほうへ向かってゆくように「表層へ向かって軽く」歌われていること。
 そして著者が初めてブルースの本質を理解したときの話として、漫才のかけあいを例にひいて、「ぼやき」「応え」の応酬というひとり二役なんだというところは、本当に笑えました。

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ぴあから発売された細馬 宏通のうたのしくみ(JAN:9784835618760)の感想と評価
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