人間昆虫記 (秋田文庫―The best story by Osamu Tezuka) の感想

手塚治虫作品の中でももっとも好きな作品のひとつです。一人の女がどう社会で男を使って自分を這い上がらせていくかと言う作品。最後の私寂しいわは心に響きます。

生きていく、女一人で生きていくのってこんなに虚しいもんかしら

彼女はつぶやく
輝く才もなく、美しい夢もないそんな彼女が生きていくに手っ取り早い方法は、他人の生きるはずだった道を奪い取ることだった
金も地位も手に入れて、望んだはずの場所へは行けた
だけどほんとうに手に入れたかったものは手に入らなかった

ラストシーンのセリフは秀逸
どんなドラマにも負けない空虚さが広がる
まるで晩秋のような