スター・ウォーズ カタリスト 下 の感想

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参照データ

タイトルスター・ウォーズ カタリスト 下
発売日2017-05-31
製作者ジェームズ・ルシーノ
販売元ヴィレッジブックス
JANコード9784864913362
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学

購入者の感想

本書はローグワンの主人公の一人であるジン・アーソの父、ゲイレン・アーソとオーソン・クレニックに焦点を当てデス・スターがどのようにして建造されていったのかをクローン戦争時代から書いたローグワンの前日譚である。
注目すべきはクレニックは学友でもあったゲイレンのことを自分を出世させるための有能な駒としてしか見ていない一方で、ゲイレンの方も徹底した平和主義者であり、様々な便宜を図ってくれるクレニックに恩義を感じる一方で、彼が共和国軍に忠誠を誓うのにだけは憎悪の感情を持つといった歪な関係であったことだ。「クレニックの本性を見抜けないゲイレンが愚か」とターキンも評したように決してクレニックが悪でありゲイレンが善という単純な構成ではない。
そしてクレニックは共和国軍で栄達するという野心から、ゲイレンをデス・スター計画に引き込むため、半ば自作自演に近い行為も含めてゲイレンを誘導しようとするのだが、プロジェクトに協力してくれるのかと思いきや新型エネルギー施設の共同経営者の提案を受けたりと、デス・スター建造計画には苦労が続く。ローグワンでターキンに突然キレたのが違和感だったのだが、本書を読んだ後はむしろ納得である。
そんなクレニックであるがさらに可哀想なことに彼の才能はプロデューサー方面に寄っており、それ以外の面については「陛下のお側に立つ」には足りないことをターキンに見抜かれ、クレニックが人生をかけることになったデス・スター計画の序盤に置いて既に「計画の遅れの責任を最終的に取らせる生贄」として目をつけられているのだ。
皇帝、ターキンについでデス・スター計画に深く関わったと言っても過言ではないクレニックであるが、彼のこの兵器に対する関心は、それがもたらす恐怖支配よりも、完成により自分の帝国での地位が大きく引き上がるという点に占められており、そういった点では彼は帝国に忠実な臣下であったと言える。
ローグワン終盤、クレニックがデス・スターの収束するレーザーをスカリフから見上げた時、彼の胸にゲイレンから提示された共同経営者という自分では想像すらしなかった未来の窓が再び思い起こされていたとしたら、これほど悲しいことはない。

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