砂のクロニクル 下 の感想

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参照データ

タイトル砂のクロニクル 下
発売日2014-05-23
製作者船戸与一
販売元小学館
JANコード登録されていません
カテゴリ文学・評論 » 文学賞受賞作家 » 直木賞 » 101-125回

購入者の感想

この作品は主人公がザックリ三人いて、三者三様の立場からストーリーが語られる。
三人のうち二人は互いに敵対し合う立場だし、もう一人は金だけを信じ信条を持たない武器商人。
三人は三人とも互いの信じる「正義」のために命を懸けて戦い、滅びていく。
三人が信じた「正義」のどれかが間違っていたとは思えない。
少なくともサミルとハッサンの「正義」は本人同士が言い合っているように相容れることが無いものだったし、シーリーンが強姦されても守り通した信念も彼女なりの「正義」の執行だったんだと思う。
正義というと一つしかないとついつい思ってしまいがちだし、私もこの本を読むまではそう思っていたが、アッサリそんな幻想をひっくり返してくれる作品。

船戸与一というと、まず直木賞を取った「虹の谷の五月」があがるのかも知れないがあの作品はハッキリ言ってどちらかといえば駄作の部類に入ると思う。
南米三部作をあげる人も多いと思うし、あれはあれで面白いがイデオロギーの対立がカチッと嵌まって滅びの美学を描いているのはこの作品か蝦夷地別件のどちらかだろう。

人々は、マハバートに集まってきていた。
運命の糸が絡みあるように、
折り重なっていく。

イラン革命防衛隊のサミル・セイフは、
幼きころから、
純粋にイマム・ホメイニの聖なる革命を盲信し、
風紀の乱れつつある革命防衛隊の、
綱紀粛正を願っていた。

クルド・ゲリラのハッサン・ヘルムートは、
抑圧され続けたクルドの独立のため、
そののろしを上げるべく、マハバード攻撃を目指していた。

複雑な過去を抱えた女シーリーンも、
ただ一つの思いを遂げるために、
マハバードに来ていた。

そして二人の日本人“ハジ”。

一人は、
武器商人として名高く、
クルド人たちの依頼に応じて、
大量のトカレフとともにマハバードに向かっていた。

もう一人は、
奇異な運命により片足を失い、
隠棲しつつも、
マハバードを中止していた。

そしていよいよ、決戦の火ぶたが落とされた。

後半は一気に読んでしまうのは、
やはり、
人物描写の豊かさのおかげだろう。
彼らが、何を話し、
何をしようとしているのか。
きっと、そのことを知りたいと思うのだ。

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