ゲノム革命―ヒト起源の真実― の感想

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参照データ

タイトルゲノム革命―ヒト起源の真実―
発売日販売日未定
製作者ユージン・E・ ハリス
販売元早川書房
JANコード9784152096104
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 生物・バイオテクノロジー » 遺伝子・分子生物学

購入者の感想

原著2015年だから、まさに新鮮な話題が多い。ヒトゲノム決定の第一報から15年で良くここまで来た物だと、感心した。著者は、化石人類学の教育を受けていたが、折から勃興する分子生物学の手法に圧倒され転向、現役の人類学者である。

まず、生物種としての系統樹と個々の遺伝子の系統樹が一致しないことも多い、ということをきちんと理解することが大事だが、この辺りやや基礎知識を要する。著者もある程度の水準の読者を想定しているようで、あまりに基礎的なことは説明しない。種としての分岐よりずっと前に、個々の遺伝子はすでに分岐をしていたり、あるいは、種としての分岐の遷移時期の最後にようやく分岐した系統樹もある。これを理解するには、個々の個体に起きた変異がいかにして集団に広がるのか、集団内にはすでに異なる遺伝子変異が共存していることもある、という集団遺伝学的センスが必要だ。これらの系統樹のずれから、非常に多くの祖先集団に関わる情報が得られる。例えば、5-10万年前の出アフリカ時点での人類の祖先集団は最大でも数万でしかなく、非常に人口が少なかったはずであることが説明される。集団が小さいと、2つの進化的メカニズム、自然淘汰と遺伝的浮動、のうち後者の寄与が多くなり、充分に自然淘汰が働かなくなる。小集団で出発して世代を重ねると、遺伝的浮動はランダムだから、生存に不利な変異も集団に広がる場合がある。これは、太平洋の孤島などの集団をそれぞれ比較することにより確かめられる(創始者効果)。事実、現在のアフリカ人は遺伝的多様性が高いのに対して、出アフリカした子孫であるヨーロッパ人やアジア人は遺伝的多様性に乏しく、しかも生存に不利な点変異を多く持つ。これは珍しい遺伝病などの発生率が明らかにアフリカ人より高いことに反映されている。

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早川書房から発売されたユージン・E・ ハリスのゲノム革命―ヒト起源の真実―(JAN:9784152096104)の感想と評価
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