アリになった数学者 (月刊たくさんのふしぎ2017年9月号) の感想

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参照データ

タイトルアリになった数学者 (月刊たくさんのふしぎ2017年9月号)
発売日2017-08-03
製作者森田真生
販売元福音館書店
JANコード4910159230974
カテゴリ » ジャンル別 » 絵本・児童書 » ノンフィクション・伝記

購入者の感想

読後の衝撃で手が震えてキーボードがスムーズに叩けません…。はじめて、どうしても自分で「レビュー」を書きたいと思った作品です。

小林秀雄賞受賞『数学する身体』著者、森田真生さんによる児童書です。児童書ということで「ついにあの森田数学の入門書が出た!」と、思う方が多いことでしょう。少なくとも私はそう思いました。そして、それはあながち間違いではありませんでした。ただ、ぐいぐい引き込まれて読み終えてから気が付いたのですが、入門書だというのはこの作品にとってささやかな必要条件に過ぎず、十分条件ではなかったということです。

「一」という数字の「意味エネルギー」を「空(非有非無)」を経て「無限(重々帝網)」にメタモルフォーゼさせ、かの神秘哲学者井筒俊彦が言うところの「神であるコトバ・一者(大日如来)」を垣間見せるこの「児童書」は、現代の佐伯真魚(空海)とも言える森田真生さんの「現時点の※」阿字(Α)であり吽字(Ω)です。まさに現代の求道書。本来、東洋神秘哲学者でなければ見られないような高くかつ深い風光に、私が今使用したような内輪の用語についての予備知識無しの読者をいざなう、森田さんの真骨頂です。

『数学する身体』を読んだもののピンと来なかった……というような方も必読だと思います。

言わずもがなですが、この「児童書」のここまでの「万人救済力」は脇坂克二さんの絵の力、寄藤文平さん・吉田考宏さんのデザイン力、そして、編集者さんの編集力もあってこそでしょう。脇坂さんの絵は現代における金剛界曼荼羅の役割を果たしています。いつか翻訳され世界でどのように評価されるのかも気になるところです。

また昨今世間に溢れる大人向け(?)児童書(?)とも格が違う、まさに「桁」が違う、と感じました。子どもの頃に出逢ってみたかったです。

※常識的に考えると、これ以上の高みは「言詮不及!」ということで、作品として具現化できないように思えます。つまり「現時点の」等という但し書は必要無いはずです。しかし、若き森田さんの日々の求道的数学鍛錬を鑑みて、あえてこのような但し書きを付けた次第です。

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