責任という虚構 の感想

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参照データ

タイトル責任という虚構
発売日販売日未定
製作者小坂井 敏晶
販売元東京大学出版会
JANコード9784130101080
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 哲学

購入者の感想

責任とは何か。
タイトルになっているように、責任には確たる根拠が無いことを、実験と論理の展開に基づいて証明しています。
筆者はさらに、なぜこのような虚構があたかも根拠のあるものであるかのように私たちの感覚の中に組み込まれているかを説明します。宗教、道徳も、同じ虚構の構図です。
まず、序章で「ミルグラムの実験」を考察し、私たちが「行動の前には主体的な意識がある」と考えている常識に疑問を投げかけるところから始まります。
第2次世界大戦中のホロコースト。死刑制度を支える分業体制。洋の東西を問わず発生する冤罪事件。これらには実は、行動と主体的な意識がかけ離れるようになる同じ構図があると指摘します。

根拠が無いところに、意味の発生する不思議。

本書は一貫して、ホロコーストやその他取り上げた事象を糾弾したり免罪したりこうあるべきだと、言わない立場を貫いています。ただ分析するのみです。しかし筆者は結論の中で、犯罪者を責めるだけでは『犯罪者と自らとの間に一線を画す点において勧善懲悪主義を超えていない。他でもないこの私自身が犯罪に手を染める可能性を見つめないと、悲劇の本当の姿は見えてこないし、同じ悲劇を再び繰り返す羽目にもなる』としています。時津風部屋の力士暴行死事件はいい例でないかと思います。

私はこういうのは専門でなかったのですが、縁あってこの本に出会いました。普段とはまた違う部分の知的好奇心を刺激され読み始めましたが、読み終わるとものの見方が、たとえテレビのワイドショーでも、すこし違った見方もできるようになったと思います。

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