沙羅双樹 デラックス版 [DVD] の感想
参照データ
タイトル | 沙羅双樹 デラックス版 [DVD] |
発売日 | 2004-05-13 |
監督 | 河瀬直美 |
出演 | 河瀬直美 |
販売元 | ジェネオン エンタテインメント |
JANコード | 4988102983918 |
カテゴリ | DVD » ジャンル別 » 日本映画 » ドラマ |
購入者の感想
少し前の河合隼雄のエッセイで本作品を絶讚してゐたので、思ひ切って見てみる事にしました。タイトルからして仏教的な無常感を描いてゐるのかなと思ひましたが、扱ってゐるのは現代の家族と地域と淡い恋でありました。それでも、多分かなり近い所を行ってるのではないでせうか。舞台は、近しい双子の兄が神隠しに遭って(失踪?行方不明?)しまった五年後に、弟は、家族は、地域はどう動いてどう生きてゐるかが描かれてゐます。抑制された自然な演出のためにストーリー展開は中々分かりにくいのですが、背景に描かれる奈良の旧市街は神仏がすぐそこに居さうな情緒に溢れてゐて見る者の心を癒してくれます。父は地元のバサラ祭に積極的に関はり、主人公の俊は追憶の兄の姿をデッサンに描き、幼馴染みの夕は本当の両親の事を初めて知って受け入れて行きます。そして、ラストは新しい弟を母は皆が見守られる中、出産します。古きもの、新しきものが地域の豊かな情緒の中で息づき、力を与へられてゐる事を改めて感じる余韻あるものでした。不思議な人間のドラマを静かに考へたひとときでありました。