いなごの日/クール・ミリオン: ナサニエル・ウエスト傑作選 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトルいなごの日/クール・ミリオン: ナサニエル・ウエスト傑作選 (新潮文庫)
発売日2017-04-28
製作者ナサニエル ウエスト
販売元新潮社
JANコード9784102200766
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学

購入者の感想

「いなごの日」:ハリウッドに赴いた画家が様々な事を体験し・・・というお話。通読しただけでは作品の意義があまり判らなかったので巻末の訳者の方と村上氏の対談を読んで参考にさせて頂きましたが、アメリカン・ドリームを求めて映画界に来た人たちが失敗して敗残者になるのを嘲笑した作品の様で、確かに最後のカタストロフィもなかなか壮絶な終わり方で、ハリウッドのみならず、アメリカに幻滅した事を小説にした作品に思えました。
「クール・ミリオン」:立身出世を夢見る少年が嫌な目にあい・・・というお話。副題に「レミュエル・ピトキンの解体」とある通り、主人公の少年が不条理な目にあい、どんどん体の一部を失い・・・とこちらも「いなごの日」同様の黒い哄笑に溢れた作品でした。ブラック・ユーモアの作品の先駆だそうですが、確かにそういう風に読めました。
その他に短篇二篇が収録されておりますが、こちらもそれぞれ面白かったです。

このナサニエル・ウェストという作家が夭折したうえ、作品数も少なく、後続の作家への影響力も大きいのに(かのピンチョン氏も影響を受けたとか)翻訳も昔出たまま長らく絶版で読めない状態が続いていたのでこうやって復刊されたのがまずは目出度いです。個人的に英語圏の小説おたくで生きてきたので、読みたくても読めないで歯がゆい状態が長かったので読めて素直に嬉しかったです。出版に関わった方がたの見識と尽力に感謝します。

蛇足ですが、ダシール・ハメットが家賃を滞納して部屋を追い出されて、このウェストの部屋に転がり込んで、そこで「マルタの鷹」を書いたとか。そういう意味でもかなりアメリカの文学史を考えると非常に重要な存在らしいですね。まだ幾つか未訳があるそうなので、そちらの翻訳も期待したいです。
アメリカ文学に興味のある人には嬉しい復刊。機会があったら是非。

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