北海タイムス物語 の感想

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タイトル北海タイムス物語
発売日販売日未定
製作者増田俊也
販売元新潮社
JANコード9784103300731
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » ま行の著者

購入者の感想

98年に経営破綻した地元の名門新聞社である北海タイムスを舞台に描かれた、そこで働く新聞マンたちの凄まじくも切ない青春小説。実際にあの頃、真の新聞人であった彼らは、生活は極貧との戦いにあっても現場では誇高く使命感に満ち、超一流の記者魂を持っていた。破綻の日から20年近くが経ち、尊い使命感はすでに散り散りになったが、若き日に同社に席を置いた増田俊也さんによって彼らの魂が畏敬の念とともに拾い集められこれほどの名作として蘇った奇跡に、泣きたいくらいの感動に震えながらページを捲る手を止めることができなかった。
 これだけ会社を愛することができれば幸せなサラリーマン人生なのだろうが、一方で同業他社の6分の1の給料(年収200万円程度)に4倍の就労時間という過酷な現実が彼らの前に厳然と立ちはだかる。生活苦と家族を養わなければならない責任が彼らを攻め立て、断腸の思いで退社を余儀なくされる者がいて、忸怩たる思いでそれを見送ろうとする者がいるーー。入社時に、この劣悪な労働環境を知り絶望した主人公が、次第にこの名門新聞社を愛する上司の姿から稀有な働き甲斐がそこにあることに気づき、目覚め、奮起していく。本書は働くこととは何かを問う根源的なテーマも見え隠れしている。全ての新聞人、マスコミ人に、そしていまや新聞など購読していないという人にも、真の記者魂を持つ者しか在籍しえなかった貧しい新聞社があったことを知って欲しいと切に願いながら読了。帰省したら、久しぶりにあの社屋の前に立ってみたい。もうあの頃の彼らには会えないけれど。

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新潮社から発売された増田俊也の北海タイムス物語(JAN:9784103300731)の感想と評価
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