オックスフォードからの警鐘 - グローバル化時代の大学論 (中公新書ラクレ) の感想

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タイトルオックスフォードからの警鐘 - グローバル化時代の大学論 (中公新書ラクレ)
発売日販売日未定
製作者苅谷 剛彦
販売元中央公論新社
JANコード9784121505873
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 教育学 » 一般

購入者の感想

本書は、東京大学で10数年教鞭をとられた後、現在はオックスフォード大学社会
学科および現代日本研究所で教授を務めておられる著者が、グローバル化時代の
大学論をまとめた新書である。本書は、序章、終章を含め13章構成をとっていて、
それぞれの章は2014年~2017年に雑誌等で発表してきた論考をもとに加除修正
したものであり、終章は書下ろしになっている。

本書の前半では、英米の大学ランキングの上位の大学は、すさまじいグローバル
競争にさらされ、優秀な教員と学生の確保、優秀な卒業生の輩出に躍起になって
いること、それは国策としてマーケティング戦略の一端も担っていること、それ
に比べ、日本の大学は一部の理工系分野を除き、世界の潮流から取り残されてい
ること等の文言が並び、英国の伝統大学に勤務される著者だからこその説得力を
持ち、危機感を感じざるを得られない内容になっている。

しかし、日本の大学でできることもあることを指摘している。まず、人文社会学
系では、英語の壁がどうしても生じ、同じ土俵で研究をしても英米の大学に肩を
並べることはできないことを認識することの重要性を述べている。さらに、日本
や地域でこそ学べる、あるいは研究できる分野で差異化し、それを国際的に通用
する付加価値を世界基準で示せば、世界に比肩する可能性があることを指摘し、
現状を見極め、戦略的に大学のグローバル化を進める必要性も述べている。

終章ではトーンがやや変わり、グローバル化の背景には、中国からの留学生が
増加した2000年頃から、英語という言語資本を利用できる立場の国が大学を使
って資金や人材を集めるグローバル競争をしかけ、大学ランキングもその一環
であることを指摘している。

東大とオックスフォード大を実際に知る著者が語る大学論には、政治家が叫ぶ
言葉とは比べ物にならない説得力がある。グローバル化を訴える人たちの背後
にあるものを終章で知り、しかし日本が特に多様性の点で立ち遅れている高等

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