チェンジング・ブルー―気候変動の謎に迫る の感想

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参照データ

タイトルチェンジング・ブルー―気候変動の謎に迫る
発売日販売日未定
製作者大河内 直彦
販売元岩波書店
JANコード9784000062442
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 地球科学・エコロジー » 地球科学

購入者の感想

この本を知ったのは,数年前に海洋研究開発機構の一般公開のときだった.その後,近くの本屋で謝辞を見たときに,高校の同級生の教授を見つけて,読もうと決めた.それと,いわゆる人為による温暖化をことさらに煽るグループとは違う,基礎的な研究にいそしむ地質学者や海洋地球科学者などのグループに属する人たちの中立的な考えを知りたいと思ったからだ.

まずプロローグにおいては,1970年頃に騒がれた地球寒冷化問題をあげて,現在の温暖化問題に対する見方に注意を喚起している.本題に入ると,いわゆる第四紀における気候変動がどのように解明されてきたかについて,基礎からきちんと説明しくれている.わかりやすい図や写真の挿入,そして気候変動の解明の主役となった研究者の写真を掲げている.このような啓蒙書はほかにないだろう.あくまで,基礎科学に寄与した研究者が主役であり,政治的に動いた学者の出番はない.

読んで,初めて知ったことがいくつかある.ひとつは,過去の二酸化炭素の増減は気候変動の原因はではなく,結果だと受け入れられているということ.ふたつめは,離心率の変化に伴う日射量の変化は少ないのに十万年周期が卓越することを,阿部彩子らが氷床サイズまで組み込んだ地球シミュレーターで上手に再現できていること.三つ目は,現在の間氷期が40年前の間氷期と瓜二つであり,そこから後1万年くらい温暖化が進むということが推論されること,などを知った.とくに,最後のことは,説明なく,ミランコビッチサイクルからいまの後氷期の温暖化はまだ1万年つづくと主張する研究者の根拠なのだろう.

この書を読んでも,未来を予測することはできない.ただただ,わかった事実を正確に把握し,理解することだけだ.人類が故意に二酸化炭素を放出し続ける(炭素循環を乱している)という壮大な実験が何を引き起こすか不明であるが,より人類にとって脅威であろう寒冷化という気候へのスイッチが入ることもありうることにも十分注意が必要であると思う.

内容はきわめて高度な内容だが,基礎からわかりやすく時系列的に解説されているので,とても理解しやすい.2,3日で読めてしまうであろう.

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岩波書店から発売された大河内 直彦のチェンジング・ブルー―気候変動の謎に迫る(JAN:9784000062442)の感想と評価
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