千羽鶴 の感想
参照データ
タイトル | 千羽鶴 |
発売日 | 2013-06-14 |
製作者 | 川端康成 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 登録されていません |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究 » 日本文学研究 |
購入者の感想
川端康成の文章から滲み出る美の表現は、くどくなくそれでいてとても美しいです。
流れるような文章、とでも言うのでしょうか。
それにしても此の話は父の愛人だった太田夫人と関係を持った上、その娘とまで……というとてつもなくどろどろした話なのですが、あまり沿う感じさせられないのも川端康成の文章力の賜物なのかもしれません。
しかし太田夫人は本当に男性から見たらいわゆる「男好きされる女性」そのもののような気がします。
女性からしたらこういう女性は……って感じです。
太田夫人が女として主人公の父から相手されなくなった元愛人ちか子からつらい仕打ちをされるのも、ちか子が大田夫人を軽蔑するように嫌うのも、女から見ればとても理解できる。
もしかしたら、男性と女性で太田夫人に対する印象はぜんぜん違うものになるかもしれませんね。
それも意図してこの小説は描かれているとしたら、すごい話です。
流れるような文章、とでも言うのでしょうか。
それにしても此の話は父の愛人だった太田夫人と関係を持った上、その娘とまで……というとてつもなくどろどろした話なのですが、あまり沿う感じさせられないのも川端康成の文章力の賜物なのかもしれません。
しかし太田夫人は本当に男性から見たらいわゆる「男好きされる女性」そのもののような気がします。
女性からしたらこういう女性は……って感じです。
太田夫人が女として主人公の父から相手されなくなった元愛人ちか子からつらい仕打ちをされるのも、ちか子が大田夫人を軽蔑するように嫌うのも、女から見ればとても理解できる。
もしかしたら、男性と女性で太田夫人に対する印象はぜんぜん違うものになるかもしれませんね。
それも意図してこの小説は描かれているとしたら、すごい話です。
この作品は評価が難しい作品ですね。
前半の人間関係がドロドロしているとは言われますが、私にはドロドロしたようには思われませんでした。それはしつこさのない文体ゆえだと思います。それと唯美主義的で人の心の醜悪な部分が栗本ちか子一人に負わされているように思われるためでしょう。太田夫人と娘と関係した、菊治には自制や自省のような念がかけらもありませんし、悩みや葛藤等のようなものが描かれていない。それが言い過ぎなら乏しい。父との間の葛藤も乏しい。醜悪な側面のインパクトが弱いからドロドロ感が伝わらなかったのでしょうか。志野を割ったりするところもそれほど残らない。
菊治は栗本ちか子の茶会でであった太田夫人と関係を持ちます。同夫人は父の不倫相手でした。栗本ちか子もまた父の情婦のような存在であった過去があります。太田夫人のむすめの文子は菊治と母を会わせないようにしてしまいます。そのことが原因で夫人は自殺するのです。その後、文子とも関係する菊治。すっとテーブルの上にあったケーキを食べるようにして食べてしまう感じです。
あとで自分の妻となる稲村嬢とも茶会で出会っていますが、結婚に至った経緯は描かれておらずなんともインパクトが弱い感じです。
強烈な人間像はなく、文子らが太田夫人という死者に縛られるすがたがそこにありますが、死者の呪縛がもたらしたものは何だったのか、結局作者が何が描きたかったのかよくわからないまま読み終わりました。
前半の人間関係がドロドロしているとは言われますが、私にはドロドロしたようには思われませんでした。それはしつこさのない文体ゆえだと思います。それと唯美主義的で人の心の醜悪な部分が栗本ちか子一人に負わされているように思われるためでしょう。太田夫人と娘と関係した、菊治には自制や自省のような念がかけらもありませんし、悩みや葛藤等のようなものが描かれていない。それが言い過ぎなら乏しい。父との間の葛藤も乏しい。醜悪な側面のインパクトが弱いからドロドロ感が伝わらなかったのでしょうか。志野を割ったりするところもそれほど残らない。
菊治は栗本ちか子の茶会でであった太田夫人と関係を持ちます。同夫人は父の不倫相手でした。栗本ちか子もまた父の情婦のような存在であった過去があります。太田夫人のむすめの文子は菊治と母を会わせないようにしてしまいます。そのことが原因で夫人は自殺するのです。その後、文子とも関係する菊治。すっとテーブルの上にあったケーキを食べるようにして食べてしまう感じです。
あとで自分の妻となる稲村嬢とも茶会で出会っていますが、結婚に至った経緯は描かれておらずなんともインパクトが弱い感じです。
強烈な人間像はなく、文子らが太田夫人という死者に縛られるすがたがそこにありますが、死者の呪縛がもたらしたものは何だったのか、結局作者が何が描きたかったのかよくわからないまま読み終わりました。