渡来氏族の謎(祥伝社新書) の感想

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参照データ

タイトル渡来氏族の謎(祥伝社新書)
発売日販売日未定
製作者加藤 謙吉
販売元祥伝社
JANコード9784396115104
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

筆者は『はじめに』で、「渡来人」という言葉から、海外から日本列島に移住してきた人種的・民族的に異なる人々、というイメージを持たれる方が多いと思われるが、これは必ずしも正しい見方とは言えず、彼らはまぎれもなくわれわれの祖先であり、現在の日本人のほとんどが多少の差はあれ、何らかの形で渡来人の血を受け継いでいるとしている。しかし、そんな渡来人や渡来氏族のなかには全容がヴェールに覆われ、実態が杳としてつかめないものも多いとして、本書では代表的な渡来氏族を取り上げ、表面を覆う薄皮を一枚一枚剥ぐように丹念に検証を進め、彼らの正体を探る謎解きを行っていきたいと語っている。 

筆者はまず序章で渡来氏族についの基礎知識を解説したうえで、第一章から第五章において、さまざまな古代の史料を掘り起こして、まさに薄皮を一枚一枚剥いでいくように実に丹念に、各渡来氏族の実態(母国、系譜関係、同族・配下集団及びその擬制的集団性、移住地、担っていた職務等)を解き明かしていっているのだが、名の知れた東漢(やまとのあや)氏や秦氏はともかく、代表的な渡来氏族とは言っても、一般には馴染みのない西漢(かわちのあや)氏、西文(かわちのふみ)氏とフミヒト系氏族、難波吉士(なにわのきし)氏の実態まで、新書本でこれほど詳細に知ることができるとは思っていなかった。 

ただ、筆者は特に氏族研究を専門にしているというだけあって、本書では、非常に読みにくく、頭に入りにくい氏族名や人物の氏・姓・名が次から次へと大量に出てきて、それがどういう氏族・人物であったかを頭にとどめていないと、筆者の解説がしっかりと頭に入ってこないという面がある。さまざまな古代の史料から、これだけ詳細な研究結果を導き出して読者に提示してくれた労作には敬意を表する一方で、新書本らしく、もう少し、読みやすく、わかりやすい解説に努めてほしかったとの思いも感じてしまう本書だった。 

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祥伝社から発売された加藤 謙吉の渡来氏族の謎(祥伝社新書)(JAN:9784396115104)の感想と評価
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