ウォーク・ジ・アース ~デラックス・エディション【DVD『ライヴ・アット・ラウドパーク13』同梱/SHM-CD】 の感想

EUROPEの2017年発表のアルバムです。再結成後の作風は毎回変化があり、悪く言えば一貫性が無く、あやふやです。 再結成前の音楽的主導権はリーダーであるJOEY TEMPESTがほぼ握っていましたが、再結成後はJOHN NORUMの意見が強くなっているように思います。JOHNは良くも悪くも感受性が強く、その時聴いて影響を受けた音楽を反映する傾向にあります。プロデューサーの選択も感覚的/流行で選んでいるようで、前作「WAR OF KINGS」、前々作「BAG OF BONES」でのメロディアス感とスピード感の無さと、単調すぎる楽曲たちに対して のめり込むことは出来ませんでした。

レコード会社との契約内容がどうなっているかは分かり兼ねますが、再結成後の彼らはコンスタントにアルバムと、アルバム毎にライブDVDを出しています。新作を聴けるのはファンとしては嬉しい限りですが、前作や前々作には　以前であればボツとなるような曲が採用されており、契約内容(アルバム枚数)を消化するため　曲を煮詰めずに発表しているような印象を受けました。このサイトではCDに限らず安易に★5つを付ける方が多いですが、”EUROPE”というバンドブランドを外したら、もっと酷評されていたのではないかと思われます。(熱狂的なファンの過大評価によるミスリードは読み手側もレビュー側もお互い不幸になるだけです。)

しかし今作品の ”Kingdom United”、"Election Day"での’70年代風リフによるグルーヴ感、“GTO”、"Whenever You’re Ready"などでスピード感は出てきており、ハードロックバンドらしく戻りつつあるように思います。このアルバムの発売から1年が経過しますが、この曲たちはまだ聴き続けることが出来ています。特に驚いたのは"GTO”でのIAN HAUGLANDのドラムスです。普段はシンプルな演奏が多く、こんなに手数が多いのは珍しいです。ドラムスの音が小さくて目立たなくなっているのは残念ですが、付属のライブDVDでも彼の演奏には良い印象を持ちました。