インフレどころか世界はこれからデフレで蘇る (PHP新書) の感想

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タイトルインフレどころか世界はこれからデフレで蘇る (PHP新書)
発売日販売日未定
製作者中原 圭介
販売元PHP研究所
JANコード9784569815473
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 財政学

購入者の感想

著者のスタンスはほんらい、中小企業をだいじにし、金融資産を溜めている富裕層を利する量的緩和の問題点を指摘する立場だ。そうであればこそデフレを肯定し、「値上げをしないでがんばっている企業」を称賛するのは、理屈の上で間違っているうえに、むごいことでもある。

デフレ時代、物価が下がり続け、そのわりに正社員の給与は比較的下がらずに来たため、暮らし向きはよくなっていった。しかし、経済のパイが拡大しない時代に、誰かが継続的にトクをするためには、どこかで辻褄を合わせなければ経営は成り立たない。結果、正規雇用を増やさない、非正規には十分な対価を払わない(払えない)、弱い取引先からは買いたたく、といったことの連鎖が続いて経済は疲弊してきた。

値上げで生活が苦しくなるのは誰でも実感する。物価が上がらないことで苦しむ仕組みは、一般にはわかりづらい。
著者が経済の専門家であるなら、そしてほんとうに富裕層でない国民一般に寄り添う立場であるのなら、そこらへんのところをわかりやすく説明して、打開の道を示してくれることを期待したい。

最近20年ぶりにアメリカに行った時に「食事代がやたら高くなったな」と思った。
軽い朝食でも日本の倍相当の金額を支払ったと思う。
そんな自分の体験を踏まえて同書を読むと、アメリカの人々の生活がいかに苦しくなっているかが理解できる。
その原因はインフレだ。

この10年足らずでアメリカ国民の多くが貧困層に落ちているという。
フードスタンプの配給を受ける人が倍増し、生活必需品のインフレが格差拡大をもたらしてる。
正確な数字は覚えてないが、10年足らずのうちに人々の給料が増えないなかで、
ガソリン代が3倍、電気代と食料品が2倍になっているのだから、生活苦になるのは当然だろう。
インフレ調整すると、アメリカの人々の所得は過去30年でまったく増えていないのも衝撃的な事実だが、
日本ではこういった事実はインフレ礼賛の経済学者からはまったくと言って伝えられていない。

中原さんは企業経営の現場とリフレ経済学の大きな解離を指摘し、リフレ派の理論の誤りを痛快に切っている。
金融緩和による輸入インフレが日本にもたらす弊害はメリットよりも大きいという。
悪性のインフレ(アメリカ)よりは悪性のデフレ(日本)のほうが国民生活に与える悪影響は少ないからだ。
ずいぶん前の本でも、経済学者やエコノミストが口を揃えて正しいと言っていた「Jカーブ効果が日本では当てはまらない」
「円安でも輸出は増えない」と解説されていたが、まさしくその通りのこととなっている。

リフレ派は同書にまともに反論することができないと思う。
そして中原さんの言うことはよく当たるから、日本人は真剣に受け止めなくてはいけないと思う。
このままでは日本人の生活は悪くなるばかりだ。
国民の3分の1が貧困およびその予備軍であるアメリカの政策を真似する必要はまったくない。

 現在の経済状況の本質を理解するために,著者の本を最も参考にしている。私が本書で参考になった点は次の通りである。
・アメリカは国民が金融資産の半分以上を株式でもっている国だから,単純に考えれば,「株価が上がることは,国民の金融資産が増えること」を意味している。しかし実際には,一握りの富裕層が金融資産の平均保有額を押し上げているだけで,国民の大半は金融資産をあまりもっていないという状況にある。
・2013年2月に「2012年の貿易赤字減少」の報道を受けて以来,ドルはほかの主要国通貨に対して買われる傾向にあり,市場では長期的なドルの先高感が強まってきている。私もこのときを起点に,ドルは長期的な上昇トレンドに入ったとみている。
・私は,従業員を幸せにできない会社が,取引先や顧客を幸せにできるはずがないと考えている。経済学者や経営学者の多くは,正社員を増やす経営を否定し,利益率の追求ばかりを訴えているが,経済学や経営学には重大な人間的視点が欠落しているのではないか。

 以上である。目先のお金の動きに惑わされることなく,本質的な幸せとは何かを常に考えて行動していきたい。

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