バッド・フェミニスト の感想

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参照データ

タイトルバッド・フェミニスト
発売日販売日未定
製作者ロクサーヌ・ゲイ
販売元亜紀書房
JANコード9784750514949
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 外国のエッセー・随筆 » イギリス・アメリカ

購入者の感想

フェミニストを名乗ることの障壁のひとつは、歪んだレッテルを貼られることです。著者は、その歪みはフェミニズムの勝利により失うものが大きい人によって作り出されてきたもので、彼女もかつてそれに影響を受け、フェミニズム否定をしたと書いています。

フェミニズムへの間違った認識がある社会で、フェミニスト代表!とタスキをかけられ、逐一言動は正しいか?フェミニズム史の深い知識があるか?フェミニズムに反する嗜好を見せていないか?完璧か?とチェックされるなんてそりゃ嫌ですね。そんな事態を回避するために、著者は形容詞【bad】に名詞【feminist】を修飾させます。頭にバッドが付くならその名札を引き受けようと。これはあくまでも彼女の折り合いの付け方であり、その形容詞でいいのか?というところには深入りしません。ただその折り合いが生まれた背景には目を向けるべきでしょう。

なぜ、フェミニズムは代表者を求められるのでしょうか?フェミニズムとは主義であり、それは特定の理念に基づく指針や立場です。フェミニストはそれにコミットする人です。ブディズムやキャピタリズムなどと同じ「イズム」ですが、それらには正しい「イスト」が存在し、その正しさを細々とチェックされているでしょうか?

本書にはアメリカのテレビ番組や映画、著名人の名前が頻繁に登場するので、そちらの文化に造詣が深いとより理解しやすいです。しかし書かれていることの多くは、日本社会にも存在し、関連付けて考えることができるものです。例えば、女性のドロドロした友情(というミソジニー溢れた神話)、性犯罪の被害者バッシング、著名人のセクシュアリティ、エンタテインメントとしての男女の共依存などです。

差別や偏見や抑圧というのは構造でありパターンです。つまり脚本が同じで登場人物を変えた物語が、様々な場所で演じられます。本書を読んだ感覚は、海外出身者たちと「うちの国でもそういう差別がある」と盛り上がった経験と似ています。これは教壇から何かを説いたり教えてくれる本ではなく、隣に座って時折目を合わせながら話をしてくれるような本なのです。何度も「それと似たようなことが日本でもあった!」と会話に参加したいような気持ちになりました。

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