なぜ大東亜戦争は起きたのか?空の神兵と呼ばれた男たち の感想
参照データ
タイトル | なぜ大東亜戦争は起きたのか?空の神兵と呼ばれた男たち |
発売日 | 2016-12-15 |
製作者 | 髙山 正之 |
販売元 | ハート出版 |
JANコード | 9784802400305 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 軍事 » 旧日本軍 |
購入者の感想
大東亜戦争緒戦で、オランダ領インドネシアのパレンバンへの落下傘部隊による奇襲攻撃に加わった奥本實中尉(当時)が戦後綴った手記を中心に、当時の日本軍の勇猛果敢な戦い振りを振り返る一冊。第一章では、髙山正之氏により、大東亜戦争開戦当時のアジアの情勢と、日本が開戦へと起ち上がった背景などが解説され、第三章に、ご子息である奥本康大氏による、父の手記への解説や、父ゆかりの地を訪ねた際の思い出などを記した一文が寄せられているが、中心を成すのは、第二章の奥本中尉の手記である。第二章の末尾の記載によると、手記が書き始められたのは19年後の昭和36年で、最終的な脱稿は実にその31年後の平成4年とのことであるが、大部分は、書き始められてからわずかな期間に書き上げられ、その後、修正や増補が随時加えられたものと推察される。20年も前の一連の出来事を仔細に亙って覚えている並外れた記憶力と、それを躍動感溢れる文体で活きいきと書き記す卓越した文章力には、感嘆する他ない。戦場の第一線で、文字通り命を賭し、脚に負った怪我をも顧みず、製油基地制圧のために立ち向かう姿からは、国を護るために戦い抜こうという一帝国軍人の強い決意と覚悟がひしひしと伝わって来る。また、文中には、当時撮影された貴重な写真が何枚も挿入されており、戦地の緊張感を視覚的に知らせている。ただ、この手記だけでは、現場を離れた周囲の状況や、開戦へと至る経緯などは把握しづらいのも事実であり、冒頭に髙山氏の文章を配し、最後にご子息による補足説明を載せたことは、出版社として適切な判断であったと評価できる。