自由の代償 [劇場版Size] の感想

本作品は、『劇場版「進撃の巨人」後編~自由の翼~初回限定版 [Blu-ray]』内のテーマソングだ。
…ではあるのだが、作品中のワンシーンに対するBGMとして作成されている点が異質だ。つまり、映像が先にあり、それを引き立てる目的で編成されている。実際に「一つの楽曲」として聴くと、メロディーラインのつながりや変調のしかたが明らかに奇妙だと感じる箇所が散見される理由はそこにある。そこで違和感を感じ、評価を落とす人がいるかもしれない。

しかし、該当の映像とあわせて聞いてみると、曲調も歌詞もぴったり一致している。
スピード感とビート感のあるドラムンベースの早いテンポに乗って、数あるバトルものアニメーション作品のテーマソングの中でも、突出した勇壮で力強い歌詞が展開される。そこからは、『進撃の巨人』特有の、熱量感あふれるカメラワークやキャラクターのアクション、そして、徐々に対抗手段を確立しつつあるが依然として圧倒的な脅威である巨人との戦いに挑む調査兵団の心情や立場を、楽曲として見事に表現している印象を受けた。原作の大ファンであるアーティストの、同作品に対する愛情がよく出ているともいえる。

『劇場版 進撃の巨人 後編～自由の翼～』の初回限定版に付属の音楽CDにも収録されている本作品だが、それを買いそびれた方や、曲単体で欲しいファンにおすすめだ。その勇壮な曲調から、仕事という「巨人」と戦うために、未来という「地図にない場所」へ夢を馳せて生きるために、士気を高揚させるマーチングソングとして購入するのも一興だろう。