帝国の参謀 アンドリュー・マーシャルと米国の軍事戦 略 の感想

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参照データ

タイトル帝国の参謀 アンドリュー・マーシャルと米国の軍事戦 略
発売日販売日未定
製作者アンドリュー・クレピネヴィッチ
販売元日経BP社
JANコード9784822251499
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 軍事 » 軍事入門

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“ジュダイの騎士”とも“ペンタゴンのヨーダ”とも呼ばれ、40年間に渡り米軍の戦略策定に携わってきたアンドリュー・マーシャルの伝記です。米国では、民主党と共和党間での政権交代に際して、官庁の主要なポジションは入れ替わります。マーシャルは、政権交代に関係無く、敵と味方の戦力の掛け値なしの評価を行うネット・アセスメントという分野を確立し、その室長を長く務めることになります。

最大の功績は、旧ソ連の経済力の適正評価を行い、ソ連側に多大な軍事費負担を発生させる戦略を採用して自壊に導いたことでしょう。CIAはソ連のGNPは米国の5割程度と分析し軍事費負担は許容範囲としていましたが、マーシャルはGNP比で2~3割程度しかなく、かつGNPの40%も軍事費に使っていると見て、ソ連の防衛負担が膨大になるB1爆撃機の開発・配備といった戦略を推進し、冷戦での勝利に貢献します。一方で、米軍が実質惨敗したアフガニスタン、イラクでの非正規軍との戦いで果たした役割はあまり詳しく述べられていません。薫陶を受けた人が著者なので、ある程度割り引いて読む必要があるのかもしれません。

気になったのは、精密誘導兵器・ミサイル弾道弾の発達で、航空母艦を中心とした米国の海軍戦略は有効性を失っている可能性があるという指摘です。第二次世界大戦で確立した戦略ですが、さすがに賞味期限切れなのかもしれません。

元々は統計学の専門家ですが、歴史や文化にも通暁し、謙虚で、幅広く奥深い視野を持ったマーシャルは余人を持って変え難かったのでしょう。こうした、その時々の政権や官僚組織とは異なる視点を持っている人を大切にしてきた米国の懐の深さを感じさせる本でもあります。

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日経BP社から発売されたアンドリュー・クレピネヴィッチの帝国の参謀 アンドリュー・マーシャルと米国の軍事戦 略(JAN:9784822251499)の感想と評価
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