夜の歌 の感想

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タイトル夜の歌
発売日2017-01-24
製作者なかにし礼
販売元毎日新聞出版
JANコード登録されていません
カテゴリ文学・評論 » 文学賞受賞作家 » 直木賞 » 101-125回

購入者の感想

癌の再発で、命懸けで書かれた「最後の小説」と謳われている。
作詞家、作家としての自伝的小説である。
これまでの「仕事」や、すでに知られている兄との壮絶な関係などを
いわば「事実の経過」としながら、
戦争の闇と現実を、ある意味ファンタジックとも言える筆致で、両者をからめてゆく。
「歌謡曲」というもののもつ「官能さ」を、こういう形で表現できるとは、
やはりこの人は、ただものではない。

大部だが、飽きさせない工夫もされている。
とはいえ、テーマのせいもあるだろうが、それなりに難しく陰鬱でもある。
読み終えたとき、もしかしたら異次元の世界(戦前かも知れない)へ
読者のたましいは飛んでいるかも知れない。
「魂の解放」という深く困難なテーマに挑んだ作者の「気持ち」が、
この本で切れないことを祈りたい。

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