北朝鮮・絶対秘密文書: 体制を脅かす「悪党」たち (新潮新書) の感想
参照データ
タイトル | 北朝鮮・絶対秘密文書: 体制を脅かす「悪党」たち (新潮新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 米村 耕一 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784106106088 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門 |
購入者の感想
本書のタイトルにある『絶対秘密文書』とは、「2011年」に著者が「中・朝貿易」に関係する友人(中国)から、「デジタルカメラ用のメモリーカード」で入手したもので、北朝鮮の「検察」等が纏めた言わば「経済事件」の捜査関係報告資料(「5件」ほどの事案らしい)を指している(以上「はじめに」及び13〜20頁)。当該「文書」の写真も掲示されているが(15頁)、当然に表紙はハングル文字なので、私自身は何であるかは判断できないし、本件「文書」に係わる『絶対秘密』性の客観的評価も即断できるものではない。しかし本書の筆致・内容・具体性のほか、現在の知りうる北朝鮮(以下「北」と略記する)の独裁事情及び情報統制などから察するに、右「文書」が真正とすれば広く一般に(そして対外的に)公開されるべきものでないことは確かと思われる。本書は右「文書」の事案報告の分析結果を中心にして、便宜的に著名の取材記録や経験談を織り混ぜながら、「北」の政治・経済実態、特に社会主義経済の行き詰まり、統治機構(行政や軍部の腐敗)に対する懸念、「擬似市場経済」の影響などを考察し、「北」の王朝崩壊の可能性を示唆するものである。著者は「毎日新聞」の現職記者であるが、本件「文書」(真偽は別論として)に基づく詳細なレポートと取材・体験に基づく裏付けなど、「北」の内部実態、殊に国民経済実態、「二重経済」(表面上の機能しない配給制度と形式上は存在できない“ヤ ミ”の市場経済の同居)など非常に興味深いトピック構成である。構成・内容はこのページの上の「商品の説明」及び「目次を見る」に譲り、以下では個人的に興味を惹いたトピックを幾つか紹介したい。