北朝鮮は何を考えているのか 金体制の論理を読み解く の感想

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タイトル北朝鮮は何を考えているのか 金体制の論理を読み解く
発売日販売日未定
製作者平岩 俊司
販売元NHK出版
JANコード9784140816011
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

 テレビでコメントする平岩俊司氏は、常に静かな語り口で好感がもてる。ただつまるところ何を云わんとしているのか分からずもどかしさを感じていた。政権の干渉があって発言に制約があるのかも知れない。或は正確には伝えていないのかも知れないと推測していたが、残念ながら本書においても同じであった。
 本書で「平壌宣言には、『拉致問題』についての言及がないとの批判があったことは確かだが」(227頁)とあるが、なぜこのような記述になるのか、平壌宣言第三項には、「日本国民の生命と安全にかかわる懸案事項について」とあり、これはまさに拉致問題を指しているのではないか。むしろ宣言にないのは、「日朝国交正常化するには、『日朝二国間の問題』と『国際社会と北朝鮮が抱えている問題』をすべて解決することを前提とすることが明記されている」(同)とあるが、これがどこに明記されているというのだろうか?この言及がないという理解が問題であった。
 また宣言に署名した以上は、その後の拉致の実情についての結果がどうであれ、宣言は遵守すべきではなかったのか。でなければ、その時点で宣言の無効を’’宣言すればよかったのである。
 本書の表題にもある「北朝鮮が考えていること」について、平岩氏はこう書いている。
「北朝鮮の政権担当者が考えていることは、おそらく、北朝鮮が快適な生存空間の中で、尊厳を持って体制を安定的に維持したいという、きわめて当たり前のことだと言ってよい。そしてそれは北朝鮮のみならず、世界中のすべての国の指導者が考えることと同じであろうし、さらに言えば、世界中のあらゆる人が、快適な生存空間の中で尊厳を持って生きていきたい、と考えるであろう。まことに当たり前でのことである」(250-251頁)
 この後、「しかし北朝鮮が用いる手段、方法が、現在の国際社会ではとうてい受け入れられないものである」としているのだが、それにしても、この牧歌的な指導者観はどういうことか、まったく理解できないところである。世界の状況は平和に暮らしたくとも常に緊張を作り出し軍需産業を維持発展させる必要を感じる国家・指導者がいることからくる矛盾で支配されているのが現実ではないか。

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