大東亜論 第三部 明治日本を作った男達: ゴーマニズム宣言SPECIAL の感想

頭山満という存在の大きさを打ち出した巨傑誕生編、
不平士族として愚か者扱いされる側の正義を描いた愛国志士決起ス
に続いて、国会開設へ繋がる自由民権運動の起こりを描いた3作目です。
絵的に動きの少なそうなテーマで史料も限られるであろう部分を「よしりん漫画」としての度合いを
強めてくることでキャラ・物語として描き通しています。
ということは過去3作の中でも一番漫画的なエンタメ度が高く、難しい事考えなくても楽しく読めてしまう
ので、間口が広がっていると言えますが
思想的に刺激されながら読むゴー宣ぽさは、その分弱いかなーとは思います。
個人的には明らかに創作と分かる部分はいいとして
ナレーションの部分は事実に即しているのかなと思って読んでいましたが
そこにも創作が入って来ているので戸惑う部分もありました。
展開の軸は結社内部や土佐との綱引きという運動の経緯を描く部分が多く
事実関係だけで行くのならさっと描き流すことになってしまうのでしょう。
それ以上の何かを求めて自分で頭山満関係の本を漁ってみても
どうせ小林よしのり以上の吸収が出来るわけでもありませんので（笑）結局は
この時期の頭山と自由民権運動について庶民が把握するにはやはり最適かつ
画期的な本ということになるのだろうと思います。
そして私のように従来のゴー宣寄りの読み方をしてしまう人たちには
巻末の私擬憲法読み比べの書き下ろしの価値は、かなり高いという事になるはずです。
これまでは本編に組み込んでいたものを別立てで収録してある感じですね。
これは知のレベルがぐっと引き上げられる、いつものゴー宣の感覚が凄い、強力な一章になっています。
ということで、本編はもはや普通に少年漫画なので、
小中学生なんかも素直に楽しめる物になっているのではないでしょうか。
小林先生としても、そうやって司馬遼太郎の坂本龍馬を塗り替える影響を及ぼそうというのは望むところだと思います。
でもかなりエロと下ネタがあるから親からそのままお子さんには与えずらいかな